come into flower～Eustoma～vol.3 (ページ15)

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雨上がりの夜ページ15

撮影が無事に終わったという安心、

テギョンさんの魅力の余韻が覚めやらぬまま、

私は控室に戻った。

不思議と

コンサートの大きな衝撃はなかったけど、

礼儀として

身についてる自然な行動、

自分から握手を求めたくせに、

逃げ出したくなった。

当たり前だけど、

手に残る

テギョンさんの手は

ジュノの手とは違っていて

ハラハラさえした。

心臓に悪い・・・あの人。

手をさすりながら、

鏡の前に座って

携帯を確認すると

ジュノから連絡。

"→「迷惑じゃないよ」"

"→「待ってる」"

文面を見るだけで

ドクンと温かくなる。

"「いま終わった〜」←"

"「じゃあ行く^ ^」←"

送信し終わって、

何気なく見た

鏡に映る自分の姿の向こうに

ブランドの段ボールがあった。

あ・・・

あれ入ってるかな・・・

中を覗くと

注文した品物たちと、

ジュノが香りがいいって

言ってたバーム。

一つ一つ

丁寧に包装してあって

何処に何が入ってるのか

付箋が貼ってあった。

喜んでくれるかな・・・

プレゼントを渡す前は

いつだってワクワクする。

バッグに潜ませてた

便箋と封筒で

ジュノに手紙を書いた。

着替えて控室を出る頃には、

いつの間にか街灯が灯り、

地面は雨が降っていたことを知らせていた。

スタジオを出た裏路地に

大きな黒い車がひとつ

無人のように停まっている。

あれだよね？

雨は降ってなかった。

小走りで車に駆け寄ると、

小さな水たまりを何個か踏んで、

到着する前に

車の後部座席のドアがスライドする。

ﾏﾈｰｼﾞｬｰ「乗って乗って〜」

運転席にいるマネージャーさんに催促され

2PMの人数分の紙袋を持って、

私は飛び乗るように

入ってすぐのシートに乗り込んだ。

「よろしくお願いします！」

「はいはい〜」

ドアが閉まると

息を整える前に

すぐに走り出す車。

「すみません、こんな事になって」

「気にしないで〜」

それで、

テギョンさんは・・と、

挨拶をと思って

車の中をキョロキョロすると

一番後ろのシートにいる

携帯の光に照らされてるテギョンさんと目が合う。

はっ・・強烈っ

テギョンさんは、私の中で

いつ見ても強烈な印象。

「もう言わなくていいよ、その"すみません"(笑)」

「あ・・・じゃあ、お邪魔します」

頭を下げると

テギョンさんは

「はいはい〜」と言って

携帯に目を落とした。