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27-7: ページ37

※捏造しかありません。

・・・


皆がいなくなった図書館。Aだけがある一冊の本の前に佇んでいた。

『……変わった本だね、君は』

どこぞのヴィランか、ヴィラン寄りの探究者がコレを生み出したのだろう。

『筋書きがある訳じゃなく、本によって引き寄せられた者たちで物語を紡ぐ……作者の存在しない本なんて、きっとわかり合えないな』

やけに豪華な装丁の本を片手に、独り言をポツポツと溢す。

『それに引きずり込まれた者は皆、記憶がなくなる。都合がいいようにできてるよ、本当』

少しの羨望と嫌悪感を胸に本を元の位置へと戻す。
先程までここにいた同級生たちの様子を思い浮かべる。記憶を失っても海に行く約束をしているあたり、微かに記憶が残っているようだ。もちろん、Aもその約束には乗った。

シュリ「おや?常連のAくんじゃないか。どうしたんだい?」
『……シュリーさん』

初登場の彼。ナイトレイブンカレッジ図書館の司書、シュリーさん。貴重な書籍も所有するこの学園の図書館には、それなりの司書が配属されているらしい。

シュリ「ほほう、これはこれは。珍しい本を持ってるようだねェ」

どことなく、マスターに似た雰囲気を纏わせた彼は、マスターとは全く似ていない笑みを浮かべる。

シュリ「この本はね、諸説あるけどグレートセブンに並ぶ偉人、小説家の魔法使いに影響された人物が生み出したと言われているんだ」
『……小説家の魔法使い』

突然のマスターと思わしき名前に片眉をピクリと動かす。

シュリ「知っているかい?小説家の魔法使いを。作家として名を馳せた彼の作品はどれも名作ばかりだ。今度、彼の作品を揃えた棚を紹介しようか?」
『ああ、うん。よろしくお願いします』
シュリ「ところで、Aくんはどう思う?この本のこと。知ってるんだろう?」

探るような気味の悪い笑み。この本の性質のことを言ってるのだろう。

『あながち間違ってないと思います。小説家の魔法使いもリアルとフィクションの兼ね合いを大事にしていましたし。ただ、それは全て彼の思い通りなんですけどね』

最後の言葉は、聞こえるかどうかの声量で溢した。それでも彼には聞こえていたようだ。

シュリ「……僕よりも彼のことを知っていそうだね。今度は、Aくんとは楽しいお喋りを期待してるよ」

そう言って去ったシュリーさんの背中を見つめ、不思議な本の始末を考える。

『僕が関わることじゃないか』

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作者名:いす | 作成日時:2022年2月7日 18時

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