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トレイ「リリア！こんなところにいたのか。クルーウェル先生が呼んでるぞ」
リリア「おお、そうじゃった！授業の途中だったな」
駆けてきたのは、メガネをした緑髪の青年。薬学でもやっているのか白衣を羽織っている。
トレイ「……一年か？」
リリア「ああ。わしの新しい友人じゃ！」
トレイ「さっそく後輩と仲良くなってるのか、すごいな」
メガネの青年は優しそうな笑顔を見せる。
いたって普通の会話が続けられているが、メガネの彼からなにやら視線を感じる。
トレイ「あー……ところで、一年は授業中じゃないか？」
『……』
トレイ「あはは、図星か。それに君、もしかしてオンボロ寮のAじゃないか？リドルから聞いてるぞ」
まさか、クラスメイトの知り合いだったか。これはまた叱られるのが目に見えてきたぞ。
リリア「おや、自分の行動は主人の行動ではなかったか？」
先ほどの話を掘り返すように、横からコソッと話しかけてくる。
『………人間になったらズルする方法だって覚えるよ』
リリア「ふはは！存外わしらと変わらんな！」
僕の言葉がツボにハマったのか、激しく笑うリリア。
トレイ「なんだ、内緒話か？」
リリア「ああ、秘密の花園じゃぞ？」
トレイ「確かに、リリアとAの間に俺は入れないな」
頭を掻いて笑みを浮かべるメガネの男子生徒に、リリアは脇腹を小突く。
リリア「ほれ、トレイ。お主も自己紹介しておけ。友は何人おってもいいぞ」
それにこやつは珍しい友じゃ、と腰に手を当てるリリア。早速口外されないか心配になってきた。
トレイ「あ、まだ言ってなかったか。俺はハーツラビュル寮2年のトレイ・クローバー。よろしく」
差し出された大きな手を何も考えずに握る。
すると大きな手に力が入り、体が引っ張られる。
トレイ「じゃあ、授業に戻ろうな」
『え』
トレイ「悪いな。リドルからAを見つけたら連れ戻すように言われてるんだ」
悪いな、と言いながら顔はニコニコ笑っている。思ってもないことを……
リリア「ククッ。Aともあろう者がこのような扱いを受けるとはな！」
楽しそうに腹を抱えるリリアは助けてくれる様子がない。
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作者名：いす | 作成日時：2022年2月7日 18時
