22-2：鐘 ページ13
＿＿＿
トレイン「正しき判事は、かつて花の街に存在したとされる裁判官だ。とても公平な人で、いつも正しい判断を下したそうだ。グレート・セブンに並ぶ偉人だと評価されている」
ロロ「その通りです」
仲良くオンボロ寮全員で交流会に参加したAは、フロロー様と思わしき人物の話を聞いて密かに怒りを感じていた。
ユウ「Aさん…あの、きっとこの世界にもどこかにシュラー様はいます、よ？」
『……』
ジトっと八つ当たりの視線を投げつけているとロロ・フランムというフロロー様によく似た格好、色合いをした男に連れられ「救いの鐘」というものを見に行くこととなった。
アズ「はぁ……はぁ……」
イデア「ひい……ひい……」
少し前には、息しか聞こえてこないアズールとイデア先輩。
ロロ「すまないね。古い建物ゆえ、自力で登るしか手段はないのだよ」
すまない、と言いつつも表情は全く変わらない。どこか不気味さの感じる彼に視線を送るが、彼は淡々と話し続ける。
ロロ「救いの鐘だけでなく、この鐘楼も我が校の誇り。じっくりと見ていってほしい」
フランムの言葉に彼から目を離し、建物を隅々まで隈なく目に映す。
ジャミ「どうした、A。気になるものでもあったか？」
『いや。フランム先輩が“じっくりと見てほしい”って言うから』
ジャミ「……真面目だな」
少し呆れ顔を見せるが、Aとの会話を続けながらまだまだ伸びる階段を上がる。
『それにしても凄いね。僕がいたところにちょっと似てる気がする』
ジャミ「Aの実家の話か？随分と趣のある家だったんだな」
『うん。マス…ご主人がこだわってたからね』
ジャミ「は？」
『だから汚したりすると凄い怒られてさ』
唐突な“ご主人”という言葉に思考が止まりそうになる。同業か？いや、性格的に可笑しい…などモヤモヤしていると二人の声で会話が途切れた。
イデア「着いたーーーっ！」
アズ「ここが……最上階ですか……」
イデアとアズールの声に顔を前に向けると、目の前には自分たちを覆い尽くす程の大きな鐘が均等にいくつも並んでいる。
グリム「目の前にあるコイツが、目的のモンか？」
ロロ「ああ。これが＿＿……」
ロロ・フランムの言葉の合間に、ふと奥にある鐘に惹きつけられる。
ロロ「”救いの鐘”だ」
続く言葉は鐘に夢中でよく聞き取れなかった。なぜか、こちらを呼んでいるような気がした。
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作者名：いす | 作成日時：2022年2月7日 18時
