【降谷零】お兄ちゃんって呼ばないで【名探偵コナン】

Siblings：07 ページ8

チュンチュン、と
なだらかな小鳥の囀りが聞こえ


「んー…」


少しだけ瞼を薄く開けたら
目の前には茶褐色が視界に広がる

ついでに腹部には重い拘束感


そろりと目線を上にすれば
朝日に反射して輝く金色がサラりと揺れた


「へ…!?」



瞬間、現在の状況を把握し一気に覚醒する



えっ何で私、お兄ちゃんと寝てるの？


辺りを見渡すと確かに其処は私の部屋で、兄からは捕まえるようにガッシリ抱き締められている


おろおろ狼狽え一先ず起き上がろうと半身を起こせば
パシッと右腕を掴まれた



「っ、零にぃ？」

「おはよう」

「おっおはよう…えと、これは…？」



何故か平然と私のベッドで寝そべる兄に
それとなく現況を聞き出す

そしたら彼は「覚えてないのか」と
どこか保護者みたいな生暖かい視線を寄越した



「昨日、リビングで寝こけてただろ」

「昨日？……あ、」



そういえばお兄ちゃんを待つ間ソファで少し寛ぐ筈が、どうしてかそれから先の記憶が一切ない


うそ、いつの間に寝落ちしてたんだろ…



「わざわざ零にぃが運んでくれたの？ご、ごめんねっ」


「重かったでしょ？」と申し訳なくなり眉尻が下がるも、兄はどこ吹く風でやれやれと肩を竦めた



「そんな訳ないだろ。寧ろ軽すぎる位だ…ちゃんと食ってるのか？」

「た、たべふぇうよ」



そう言ってぐにぐに頬をつまむので上手く喋れず「りぇーにぃやめへ」と彼の手を押して抵抗したら、くつくつ笑い漸く指を離してくれた



「でも、その…なんで一緒に…？」



寝落ちした私を部屋まで運んでくれたのは理解した

それが有難いのは事実だけど
だからって妹と寝るなんて不自然じゃありませんか



「あぁ、お説教しようと思って」

「ふぇっ!?」



にっこり笑って髪を撫でてくる兄に
私は大きく目を見開く


な、なんで？
私何か悪いことでもしたかな!?


そう思って分かりやすく動揺すると
彼は軽く眉間を抑え、溜息をこぼした



「お前がやろうとしてるバイト、どういう場所かちゃんと調べたのか？」

「…？猫カフェじゃないの？」



意図が分からずキョトンと兄を見つめたら
今度こそ がっくし肩を落とした



「んなワケあるかっ。…俗に言うメイド喫茶だ」

「メ、メイド…？」

「猫のコスプレを兼ねた、な」

「ねこ…」



「ちょっと調べればすぐ出てくるだろ」と呆れ口調に此方を見下ろす零にぃに ぐぅの音もでない


そんな私に、彼は無慈悲な宣告を下した



「暫くバイトはお預けだな」

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