ストロベリーシンドローム

個室にて ページ5

扉を押さえて先に部屋に入ってもらう。


 
 
「すみません。余り目立つ所じゃ落ち着かないだろうと思いまして…」


 
キョロキョロしてる彼の背中に話しかける。

飼い主に似るって言うもんね。
チョコちゃんも同じくキョロキョロ(笑)


 
 
 
EH「え？あ…俺のこと知ってました？」


 
あ…言っちゃマズかったかな？
気まずい…かも。


 
「えっと…はい。一応……黙っててすみません」

EH「え？あ、違う！違う！知らないかと思ったから嬉しいです」


 
マスクをとって、いつもの笑顔。


 
 
EH「えー…改めまして。ウニョクことイ・ヒョクチェです」


 
差し出された筋張った綺麗な手をそっと握る。


「木村です」

EH「前から気になってたんだけどさ…」


 
ドキッ。


 
EH「韓国の人じゃない？」


あ、、、何だ。
ちょっと気になってただなんて言うから身構えちゃった。


 
「はい。母方の祖父母が韓国人なんですが、父は日本人で育ったのもほとんど日本です」

EH「下の名前……も聞いていい？」


 
 
ドキッ。ドキッ。


 
「A…です」

EH「ふーん。じゃ、今度からAさん指名しちゃおっと♪」


 
 
屈託ない笑顔。


彼にとっては何でもないことなんだろうけど、名前を聞かれるとは思わなくてちょっとドキドキしちゃった。


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チョコちゃんはイ様が一緒で落ち着いてくれたから、暴れる様子もなく終了。


「爪のカットだけでいいんですよね？」

EH「うん。助かった。ありがとうございます」


お会計しようと扉に向かった時、後ろから手が伸びてきて一瞬開いた扉が閉まった。


「イ様？」

EH「ヒョクチェ……でいい。イはいっぱいいるし。ほら…姉とか母とか」

「失礼じゃなければ…」

EH「うん。呼んで？あと…連絡先聞いてもいいですか？」


 
忘れてた。名刺！！
指名してくれるって言ってもらえたのに、私ったら…気を遣わせちゃった？


慌てて出した名刺。

 


「今後もよろしくお願いします」


 
あれ？だから、なんで照れてるの？聞いたのはそっちなのに…

チョコとチョコ→←指名

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