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何の前触れもなくそれは来た



ピコン__

メール通知を知らせるそれにふと目をやると”ジョングクくん”という文字が見えた


歯ブラシをくわえながら手に取り、そっとメールを開いた



”迎えにいく”



「、、え」



これは、どいうことだろう

誰にもおじさんにでさえ居場所は教えていないのに



誰かに送るメールを間違えて送った?




わたしは返信せずに、歯磨きを終えて仕事に向かった





もしかしたら

もしかしたら彼が来てくれるかもしれない


いやでも、、場所も知らないのに来るわけがない



やっぱり間違いかも





自動ドアが開くたび、ジョングクくんかもって馬鹿な期待をして


何度も何度も自動ドアを見てはがっかりして


わたし、、何してんだろ




こんなに期待したりがっかりしたり

もうジョングクくんは、わたしの何でもないのに


彼は雲の上の人


わたしはただの田舎者





「Aちゃ〜ん」

「、、お疲れ様でした」

「・・」



いつもならイラっと来るくらいの気持ち悪い彼の発言も、今日は一つも耳に入らなかった



街灯が一つしかない、見慣れてしまった夜道



時刻は20時すぎ



「Aちゃん」



不意に名前を呼ばれて、ゾクゾクと背筋が凍る


振り返ればそこには、あの先輩



「お、お疲れ様です。どうしたんですか」


「話が合ってさ、僕と付き合ってよ」


「え、、お断りします」



なんとなく予感はしてた

でもなんだか、眼が、眼がちょっとやばい


今日の先輩は怖い



「なんで」


「へっ!」



ガシッと強く腕を掴まれる

振りほどこうとしても、相手は男性で到底かなうはずもない




「ぼくんちそこだし、ちょっと話そうよ」


「いやだ!離して!」




腕が痛くなるくらい抵抗するけれど

先輩はわたしを強引に引っ張る


あぁ、だめだ。どうしよう、何されるんだろう


だれか助けて



そう思ってもこんな田舎じゃ誰もいるはずない



「嫌だって!!離してっ!」




その時、一台の車がわたし達の前に止まった


ライトがこっちを向いていて眩しくて見えない



いったい何?







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作者名:な む | 作成日時:2019年1月14日 23時

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