不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ8)

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ようやく思い出してきた。
手当てしてくれたローに迷惑をかけたくなくて、自分で屋敷に戻って……その後すぐに、ローが助けに来てくれた。
そのまま船に乗せられて、島を出てきた………

リル(海軍に追いかけられたけど、それもあの人が倒してくれて…………
私、昨日泣き疲れてそのまま寝ちゃったんだ………)

ぼんやりとした頭で、昨日の出来事を思い返す。
窓の外を見ると、もう海の上だった。

リル(………本当に、島から出たんだ。
実感ないな………)

外の風景が、すべてを物語っているのに……今だに実感がない。
ベポに連れられるまま、身支度を整えて食堂へ向かう。
中に入ると、すでに船員たちが朝食を食べていた。
入ってきたベポとリルを見て、声をかけてくれる。

ペンギン)あ、リルちゃん！
おはよう！

シャチ)朝ごはん、食べないとなくなるぞー！

ベポ)ちょっ……俺の分まで食べないでよ！！

リル)………

朝から騒がしいやり取りをする船員たちに、リルは驚くように見るばかりだった。
それを見てか、ローが声をかける。

ロー)お前はこっち座れ。
あんな騒がしい中に入りたくはないだろ。

リル)………うん。

気を遣ってくれたのだろうか。
ローに手招きされて、彼の隣に座る。

ロー)色々と気になることもあるだろうが……今はとりあえず、この船での生活に慣れてもらう。
お前の抱えてる事情とやらを訊くのには、時間がいるだろうしな。

リル)私の……事情？

ロー)あの変態が言ってただろ。
お前たち白狼は、世界政府に逆らえない……と。
それが、どういう意味なのか……俺たちはまだ知らない。
事情を話すにしても、信用できるかどうかも分からない相手には話せないだろ。
白狼は、隠されてきたんだからな。
そう簡単に話せる内容だとも思っちゃいない。
落ち着いたら、話してくれれば………

リル)…………

話して……いいものなのだろうか。
そんな風に見えた。
ゆっくりと朝食を食べたものの、そこまで量を食べることができず……ほんの数口食べただけだった。
その姿に、さすがのローも心配する。

ロー)おま………そんだけでいいのか？

リル)うん………
食べたい、とは思うけど……食べられなくて………

ロー)………

シャチ)リルちゃん！？
もうちょっと食べなよ！！
いっぱいあるからさ！

ベポ)倒れちゃうよ！

リル)でも…………

ロー)………あんまり無理に食わすな。

ペンギン)なんで？

ロー)仕方ないんだろう。
屋敷での生活が影響してるせいで………