不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ7)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:1,261 hit

6 ページ7

ペンギン)リルちゃんから訊くのは、まだしばらく先になると思いますし……俺らで、出来る限り調べてみます。

ロー)あぁ……そうだな。
リルも、俺たちが信用できる人間だと判断してくれたのはいいが……心まで許したわけじゃない。
一族のことに関しては、そう簡単に話していいような内容でもないだろうしな。
まして……海軍の口から『忠実な犬』なんて言葉が出るくらいだ。
おそらく、簡単な事情じゃねぇ筈………
もしかしたら……厄介な女を、抱え込んじまったかもな？

「ククク………」と笑うロー。
それを見て、ペンギンが「そんな風に言わないんですよ」と呆れたように言っていた。
次の日の朝を迎え、起きてきたベポがリルの部屋へ向かった。
船内の案内はしていないので、リルが勝手に外へ出てくることはない。
部屋の扉をノックし、一言「入るよー」と言って扉を開ける。
………リルはまだ眠っているようだ。
中へ入り、身体を揺する。

ベポ)リル、起きて。
もう朝だよ。

リル)……ん…………う…………

声をかけられ、もぞもぞと布団の中で動くが……少ししてから、眠たげにゆっくりと起き上がり、目を擦る。

リル)朝…………？

ベポ)そう、朝だよ。

リル)…………

ぼーっと、ベポを見る。
頭が起きてないらしい。
部屋の中を見渡して、自分のいた場所を確認する。

リル(…………あれ？
屋敷じゃない…………
なんで………？)

眠たい頭で考える。
ぼんやりと昨日のことを思い返していると、怪訝な顔をしたローが部屋にやって来た。

ロー)おい、ベポ。
呼びに行ったにしては遅いぞ。

ベポ)ごめん、キャプテン。
リル、さっきまで寝てたみたいで………

ロー)あぁ………そうみたいだな。
まだ状況が飲み込めてねぇらしい。
飯でも食いながら、ちゃんと説明してやらねぇとな。

ベポ)だって、リル。
ほら起きて！

リル)………？

ベポに促されて、ようやくベッドから出てきたリル。
まだ眠たいらしく、目を擦っていた。

ロー)顔洗え………っつっても、その目じゃダメだな。
タオル用意してやるから、それで顔を拭け。
普通に顔洗うんじゃ、薬が落ちるからな。
眼帯も濡れるし、手の包帯も濡れちまう。
飯食ったら、怪我の様子を見る。
怪我も酷いんだ、ちゃんと治さねぇとな。

リル)……………

冷たいような言い方だが……世話は焼いてくれていた。

リル(そっか…………
ここ、海賊船の中だ…………
私、昨日……島から連れ出されたんだった………)