不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ6)

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リル)………？

ロー)もう、何も言わなくていい。
何も知らない俺たちの為に、自分を犠牲にしようなんて考えるな。
お前は、自由になったんだ。

リル)自由………？

ロー)自由とは言っても……俺たちの船には残ってもらうがな？

ニヤリと笑うロー。
しかし、そこに先程までの怪しく不気味な笑みはなく……優しい笑みだった。

リル)船に………居て、いいの………？

ロー)何度も言ってるだろ。
船にお前専用の部屋も用意した。
これからは、この船で生活してもらう。

ペンギン)半ば無理やりな形だけどね。
でも、あの島に居るよりかは、かなり安全だよ。

ベポ)海軍がリルを奪いに来ても、俺たちが倒してあげるからね！

イッカク)自分のやりたいこととか、好きなこともできるのよ！

シャチ)怪我だってしなくて済むし、もう苦しむこともされないんだ！
これからは、リルちゃんの自由にしてていいんだよ！

リル)…………

ロー)そういうわけだ。
こっちは、お前が断ろうが迎える気満々なんでな。
居ていいも何も、居てくれなきゃ困る。

リル)………

温かく迎えてくれる人がいる………
そんなのは、何年ぶりだろうか。
両親との思い出が、一瞬頭をよぎって……涙がこぼれる。
信じていいんだと……やっと思えた。
立っていられず、座り込んで泣き続けた。
周りで慌てるような声が聞こえたが、気にもせず泣き続けた。
そこでようやく、リルが……誰かを信じるのが怖いと感じていたと理解した。
だから離れようとしたのだ、と………

ロー(誰だって、苦しいだけの場所に帰りたくはねぇ。
だが、リルは……それを選ぼうとした。
俺たちの為に。)

他人を怖がる以上に、リルは………底なしに優しいのだと分かった。
その後も泣き続けたリルは、いつしか泣き疲れて眠ってしまった。
部屋に戻してベッドに寝かせると、静かに部屋を出る。

ロー)………寝たな。

ペンギン)そりゃ、あんなに泣いてたんですから。
当然ですよ。

ロー)…………

ペンギン)どうしました？

ロー)……これからも、海軍がしつこく狙ってくるだろうな。
まぁ、白狼研究なんて極秘裏にやってたもんの要みたいなものだからな、リルは。

ペンギン)それについても、俺らで調べとかないと……ですね。
あの変態が言ってたことも、気になりますし。

ロー)言ってたこと………？
あぁ……『白狼が首輪をつけられた一族』ってやつか？
確かに、あの発言は気になるな………
『世界政府の忠実なる犬』だとも、言ってたしな。