不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ5)

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ロー)ところで………なんでリルが甲板に出てきてんだ。
部屋にいろと言った筈だ。

イッカク)えっと………

ベポ)キャプテン、怒らないであげて！！
リル、キャプテンのこと心配してたんだ！！

ロー)俺の心配だと……？

イッカク)あたしたちも、部屋にいた方が安全だって……何度も言ったの。
でも………

ベポ)代わりに戦ってくれてるキャプテンが心配で、部屋でじっとしてられないって………
離れたりしないから、外に行かせて、って言って………

ロー)それで甲板に出てきたってのか？
危ないって分かってただろ、あの変態もいたんだしな。
俺の船員が近くにいるとはいえ、狂気じみた奴がやることは予想も想像もつかないんだ。
下手に外にいて、お前に何かあったらどうする。

リル)ごめん、なさい…………

ロー)お前らもお前らだ。
なんで中へ戻さなかった。

シャチ)それは……その………

ペンギン)リルちゃんが、覚悟決めてそこに残ろうとしてたんだから、無理やり部屋に帰すのは野暮ってもんでしょ。
リルちゃんだって……危険なのは分かってたんですから。

ロー)…………

ペンギン)それに、リルちゃんだって……思うところがあったんだと思います。
助けてもらってばかりなの、気が引けてたんじゃないかな。
だからこうして、怖いけど外に出てきた。
危ないのは、一番に理解できてた筈です。
それでも……キャプテンが心配だった。

ロー)俺はそんなに弱くねぇ。

ペンギン)そんなの、会ったばかりのリルちゃんが知るわけないでしょ。
俺たちならまだしも……リルちゃんには、言葉で伝えても不安だったんですよ。
俺らのこと、知ってたわけでもないんですし。

ロー)だからってなぁ………

リル)…………ごめんなさい。

ロー)………？

ペンギンと軽く言い合いになりかけていた時だった。
リルが、弱々しい声で謝ってきた。
見ると、涙は止まったらしいが……それでも、今にもまた泣きそうな顔をしていた。

リル)私が……勝手なことして、迷惑かけて………
でも、私の代わりに……戦ってくれてるのに、それを見もしないで隠れてるなんて……できなくて…………

ロー)………

リル)危ないのも、分かってた…………
また、連れ出されるかもしれないって………
でも、私………

ロー)…………もういい。

リル)っ……！

ため息をつき、それだけ言われた。
呆れられたと思ったリルは、涙をこぼしそうになったが……ローが近づいてきて、頭をぽんっ、と撫でた。