不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ4)

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ローはリルの手を優しく掴んでベポの後ろから引き出すと、パディックに近づく。
渡される……と思ったリルは、身体を震わすも……ローはその少し手前で止まり、リルの手を離した。

ロー)リル。
お前の抱えるもんすべては知らねぇが……これだけは信じろ。

リル)……？

ロー)お前が何を抱えていようが、関係はねぇ。
俺たちが必ず、守ってやる。
だから……もう安心しろ。

ふっ、と優しく笑って見せた。
そんな表情を向けられて、頬を染めるも……それ以上に、嬉しくて……涙をこぼした。
ぽろぽろとこぼれる涙を止めず、リルは小さく頷いた。

リル)う、ん…………

ワンピースのスカートの裾をぎゅっ、と握りしめ、涙をこぼすリル。
その姿に、ペンギンたち船員は安心する。
ただ一人……パディックだけは、状況も掴めずに苛立っていたが。

パディック)お前たち………俺の話を聞いていたよな！？
そいつは俺のものなんだ！！
さっさと返せ！！！

ロー)やれやれ………まぁいい。
リル、よく見とけ。

リル)………？

ロー)お前を守る男が、どういう奴なのかを……見せてやる。

そう言うと、ローは余裕の笑みを浮かべて……能力を使う。

ロー)『ROOM』…………

能力でドーム状の円を張ると、ローはすでに抜いていた鬼哭をパディックに向ける。
狙いを定めているようにも見える。

ロー)インジェクション………ショット！！

言うと同時に、構えた鬼哭で突きを繰り出す。
武器もなく、防御体勢もしていなかったパディックは……もろに攻撃を受け、船から吹き飛ばされる。
身体が空中に投げ出され、下は海。
軍艦に叩きつけられないだけ、まだマシだろう。
意識もなく……パディックはそのまま、海へと落ちていった。

ロー)もう二度と、俺たちにもリルにも近づくな。
お前みたいな変態野郎と、一緒にはいたくねぇんだ。
もう見たくもねぇ………

嫌そうな顔で、海に落ちて気を失うパディックにそう言った。

ロー)さっさと行くぞ。
もう用事は済んだ。

シャチ)や………やっと終わったぁ………

ロー)なんだ、その腑抜けた声は。

シャチ)腑抜けで悪かったですね！？
心配したし、嫌だったんですよこっちは！！

ロー)何が。

シャチ)あの変態ですよ！！
リルちゃんを自分のものみたいに言うし、すっごい変態してて………
あんなの、普通の奴でも嫌がりますよ！！

ロー)リルは、それに何年も耐えたんだ。
お前らとは、嫌の度合いも違いすぎる。

シャチ)そりゃそうですけどね！？