不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ25)

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とりあえず、彼女からまた話を聞くべきだと思った。
食事中も、何やら考えてるのか……ぼんやりとしているリル。
出された食事は、ペンギンが作ったサンドイッチだ。
まだそこまでの量を食べることができないリルに、少しでも食べてもらおうと思って作ってくれたようで……野菜やハム、チーズなどが入っていた。
リル本人も嫌ではなかったらしく、少しずつ口にしてくれていた。
が……やはりその表情は暗いままだ。

ロー)…………リル？

リル)……ん？何？

ロー)お前……ここへ来てから顔が暗いが……何かあったのか？

リル)…………

話すべき……なんだろう。
だが、本当に言っていいのか………
表情から、リルが悩んでいるのが分かった。
察して「俺以外に聞かれたくない話か？」と言った。
察してくれたのが分かったリルは、しばらくしてから小さく頷いた。

ロー(なるほど………
これはまた、厄介な話を聞かされそうだ。)

聞くのが嫌なわけではないが……リルは白狼一族の人間。
周りに教えていいことと、教えてはならないことがある筈だ。

ロー(リルが、俺以外に聞かれたくない話ってことは……本人の事情の、深い部分の話だろうな………
聞くのが嫌なわけじゃねぇが……ペンギンたちが気軽に聞ける内容でもないみたいだから、話せる相手は自ずと俺しかいなくなる。)

白狼に関した話は、気軽に他の船員たちにできるわけがない。
まして、まだ警戒心の強いリルなら………

ロー(……とりあえず、聞くだけ聞かないとな。
話せずにずっと暗いままなのも困る。)

そう思い、リルに「飯食ったら呼ぶ」とだけ言って離れた。
戻ってくると、ベポが心配そうな顔を向けてきた。
周りも、話の内容が気になるらしい。

ベポ)キャプテン、リルは………？

ロー)………また周りには話せないことで悩んでるらしい。

シャチ)やっぱ、俺らのこと嫌なのかな……！？

ペンギン)それだったら嫌だな………

ロー)そうじゃねぇと思うが………
とにかく、今は話を聞いてみねぇことには解決もしねぇ。
それまでは待ってろ。

ペンギン)というか……リルちゃんって、キャプテンには色々話してくれるんすね。
なんか悔しい………

ロー)悔しがるな。
別に、今はお前らを怖がってるだけだろ。
すぐ慣れてくれる。

ペンギン)慣れてくれる、って言われてもねぇ………

何か言いたげなペンギン。
チラッ、とリルの方を見ると、ベポと話しているようだった。

ベポ)リル、どう？
美味しい？