不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ3)

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パディック)なん……だと！？

ロー)それよりも………自分の身を心配したらどうだ？
お前が今いる場所は……海賊船の上。
しかも、味方もいなければ……帰れる船すらねぇ場所だ。

そう言った瞬間、後ろの軍艦が音を立てて沈み始めた。
ローが自分の船へ戻ってくる時に、軍艦を斬ってきたようだ。
綺麗な断面をしていた。

パディック)バ……バカな！！
軍艦がやられた………？
こんな、小物海賊に………！？

ロー)誰が小物だ、変態野郎。
さっさと船から降りろ。
そして……もう二度と、リルに近寄るんじゃねぇ。

リル)………！

ベポの後ろから、少しだけ顔を出して様子を見ていたリル。
ローが真剣に怒ってくれてるのを見て、ほんのりと頬を染めた。

パディック)くぅ………！
諦めるものか………！
そいつは、白狼の中でも特別な存在！
そう易々と、海賊に渡せる女じゃないんだ！！
それに………そいつはよく分かってる筈だ。
海軍に、逆らえないとな！

リル)っ………

ロー)逆らえねぇだと？
それはお前に痛めつけられたせいだろ。
抵抗もできねぇ女を、よくもまぁあそこまで傷付けやがって………

パディック)………本当に、それだけだと思ってるのか？

ロー)何………？

パディック)お前たちは知らないだろうなぁ………
白狼一族ってのは……世界政府が首輪をつけた、忠実なる犬なんだよ！！
いかなる理由があろうと、世界政府及び海軍には絶対に逆らってはいけない掟がある！
だからそいつは抵抗もできず、俺に好き勝手やられてたってわけだ………
死ぬことすら許されない一族だからな！
抵抗すりゃあ、掟に反したことになる。
痛めつけられようが何されようが、俺たちに逆らっちゃいけねぇのさ！
その女はなぁ！！

リル)……………

高笑いしながら話したパディックに、リルは顔をそむけた。
悲しそうな、今にも泣きそうな顔だ。
おそらく……事実なのだろう。
見てそれを理解したロー。

ロー)…………なるほどな。
だからお前がしつこくしてるのか。

パディック)そうさ！
あの女は逆らえない……逆らっちゃいけないんだ！
俺の好きにしたところで、周りが文句言えるものでもねぇんだよ！！
分かったら、さっさとその女をこっち……に…………？

高笑いしていたパディックだが……何か違和感を感じた。
話している間に、ローは彼の横を通り過ぎて……リルに近づいていた。

リル)…………

ロー)………

青白い、血の気の引いた顔だった。
それを見てられる程、非道じゃない。