不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ18)

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ロー)あぁ、色々と聞かせてもらっててな。
実に興味深い話ばかりで、時間が経つのも忘れてた。

シャチ)嘘でしょ………！？
あのキャプテンが、リルちゃんとの会話を楽しんでた！？

ロー)お前………失礼だろ。
それくらいで驚かなくたって………

ペンギン)いや驚きますよ。
だって、キャプテンが一番、リルちゃんのこと避けてたんですから。

ロー)それとこれとは別だ。
リルから、色々と事情を聞いてたんだ。
海軍から狙われる理由も、大体は理解できた。

シャチ)え、そうなの？

ペンギン)理由って……何だったんですか？

ロー)あの変態も言ってただろ。
リルが白狼一族の中で、かなり特異な存在だったのが理由だ。
聞けば、リル程の能力を持って産まれてきた奴はいなかったらしい。
毒を自分の身体で治せる奴は、白狼一族にもいなかったそうだ。

シャチ)へぇー…………

ペンギン)やっぱそういう感じだったんだ………
というか、白狼一族ってかなり希少種で、いるかすら怪しいって言われてるのに……ちゃんといたんだ。

ロー)今、目の前にいるだろ…………
とにかくリルは、その特異な体質のせいで、あの変態に好き勝手されてた。
昔の掟だかのせいで、政府には逆らうことすらできないようになっていたらしい。

シャチ)え、政府？

ペンギン)そういや、変態がそんなことを………

リル(…………あの嫌な人のこと、変態で通してる………)

会話を聞きつつ、そんなことを思った。
ローがペンギンたちに話しているのを、隣で聞いていたリル。
二人は、リルの話を聞いて驚くばかりだった。

シャチ)白狼一族って、ホントは不思議だなぁ………
というか、扱い酷すぎない？

ペンギン)扱いは酷いよな。
立派な信念を掲げてるのに、それが発揮されもしないんだから。

シャチ)てか、すごくカッコいい信念だな！

ペンギン)命続く限り、誰かに尽くす………
そう出来ることじゃないよ。
俺たち海賊だって、自由気ままにやってるし……確かにキャプテンへの信頼は強いけど、他じゃ裏切りなんてしょっちゅうだしね。
それを考えれば、どれだけリルちゃんたち一族が立派なのか……よく分かるよ。

シャチ)一途に尽くすんだもんな………
すげぇカッコいい！

リル)…………

二人が褒めてくれたのが嬉しかったらしい。
頬を染めて、困ったような顔をしていたが……すぐに、ほんの少しだけ口角を上げて喜んでくれた。
まだ笑顔には程遠いが、少しずつ表情を出すようにもしてるようだ。