不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ17)

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天竜人に気に入られた、ということは……『欲しがられた』という意味だ。
天竜人は、世界政府を使って白狼一族を捜し出し、長の家系を見つけると……彼らに未来永劫、外されることのない首輪をつけた。
それが始まりだった………

リル)天竜人は、世界で逆らってはいけない人………それは私たち一族も知ってた。
だけど、彼らはお構いなしに、私たちに首輪をかけた。
他人の命令を聞かないように。
私たちが、裏切ることのないように………
その首輪の効力は、天竜人だけじゃなく世界政府や海軍にも及んだ。
だから私たち白狼一族は、天竜人と世界政府、そして……海軍に逆らってはいけないの。
それが、自分たちより地位の低い海兵だったとしても。

ロー)まるで道具だな………
それであの変態が、リルに向かって逆らえないだの言ってたのか。

リル)うん………
その事を知ってるのは、海軍でもごく一部の人間だけ……なんだけどね。
上層部や、長く海軍に残ってる人の中には、知ってる人もいると思う。
………本来は、聞く必要もないんだけどね。

ロー)そうなのか？

リル)本来の白狼一族の信念は………『自分の信じる人に、命続く限り尽くすこと』だから。
特定の誰かにだけ、仕えるのは違うんだ。

ロー)自分の信じる人に、尽くす………
じゃあ……もしお前が、俺たちを信じても平気だと思えば………

リル)………尽くしてもいいと、思える相手なら……誰に尽くそうが関係ない。
例え、その相手が海賊でも………尽くせると思えるのなら。

静かに口にした、その言葉は……とても重い、言葉だった。
そこに、彼ら一族のすべてが込められているようにも感じた。
そんな大事なことを、会って間もない自分に話してくれるとは………

ロー)………そんな大事な話、俺にしても良かったのか？

リル)ダメだと思う。
でも………あなたになら、話してもいい気がした。

ロー)…………

柔らかな表情に、目を奪われる。
彼女が初めて見せてくれた、警戒心のない表情。
それに言葉を失うのも、無理はなかった。
何も言えず、目を離せずにいると……船内からペンギンたちが出てきた。
扉を開ける音で我に返り、そっちを向く。

ペンギン)キャプテン、こんなとこにいた！

シャチ)しかも………リルちゃんと二人っきり！？
何してたんですか、キャプテン！！

ロー)何って………手当てが終わってから、外で話していただけだが？

ペンギン)キャプテンが？
………リルちゃんと、二人で話………？