不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ16)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:1,256 hit

15 ページ16

リルの表情が、怯えたものではなく……柔らかい、年相応の表情に変わったことに気付いて、ローも嬉しくなって笑った。
その後も、二人きりで話すのに夢中になってしまった。
殆どリルのことについて話しただけだが……何も知らなかった白狼一族についての話が聞けたのは、とても良かった。

ロー)…………なるほど。
白狼一族ってのは、本当に不思議な連中だな。
個体差があっても、基本的な能力は同じだとは………

リル)普通の人間と、何も変わらないけど……身軽に動いたり、動物と話すのは、みんなやってたの。
私は会ったこと、ないけど………

ロー)会ったことがない？
他にいなかった……ってことか？

リル)うん………
お父さんの話では、散らばりすぎて何処にいるか分からない……とは言ってたけど………
集まったりはしないんだ、って。

ロー)群れで暮らすのは嫌がるってことか………？

リル)ううん、違う。
他の人と違うのがバレないようにするのと、白狼一族がまとまって生活してると、標的にされやすいから……だから、集まったりもしないし、団体で生活することもないの。

ロー)そういう理由なんだな………
だが、普通の人間と見分けがつかないなら、隠れる必要もなかったんじゃないのか？

リル)普通なら見分けなんてつかないけど……海軍は、知ってるから…………

ロー)知ってる………？
お前たち白狼一族の、見分け方を……か？

リル)うん…………

ロー)どうやって見分けるんだ？

リル)………誰にも言わないって、約束……してくれるなら………

ロー)あぁ、言わねぇよ。
海軍とは違うからな。
約束は守る。

リル)………ありがとう。
私たちを見分ける方法は………『目の色の薄さ』なんだ。

ロー)目の色の……薄さ？

リル)うん。
私たち白狼一族は、普通の人間と違って目の色が薄いの。
私もそう。

そう言われて、リルの目を見る。
淡い水色の瞳は、息をするのも忘れるくらい綺麗だった。

ロー)…………確かに、目の色が薄いな。
これが見分ける方法か？

リル)うん。
これを知ってるから、あの人は私が白狼一族だって分かったの。

ロー)そういうことだったか………
じゃあ、あの変態が言ってた『忠実なる犬』ってのは？
普通なら、あんなこと言わない筈だが………

リル)…………ずっと昔の話になるんだけど、一族の一人が天竜人に見つかったのが始まりなの。

静かに、一族の歴史の話をしてくれた。
天竜人に見つかった白狼一族は、その能力を気に入られたそう。