不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ15)

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ロー)それで生きてる方が不思議だがな………
身体はなんともなかったのか？

リル)すごく、苦しかった…………
息もできなくて、本当に死ぬんだと思った。
だけど……気付くと生きてて、ちゃんと意識も残ってた。
それが続いて……苦しみたくなくて、屋敷から逃げ出そうとしたの。

ロー)それが………昨日か？

リル)ううん、その前から。
何度も抜け出して、屋敷から出たのは昨日で10回目だったの。

ロー)そんなに逃げ出されといて、よく警備を厳重にしようとしなかったな………

リル)私が島から出られないことを、知ってたから………
例え屋敷から逃げ出しても、島から出ないと分かっていたら、警備が薄くても平気だと考えたんだと思う。
実際、私は船が停泊してても、乗り込む勇気なんかなかった。
怖かったの。
島を出ても、また海賊に捕まってしまうだけだ……って。
そう考えたら、足が止まった。

ロー)…………

リル)昨日だって、どうせ見つかって屋敷に戻されるだけなのに……逃げ出して、助けてくれる人を捜した。
島の人は、誰も助けてくれないの……分かってたのに。

さらに暗い顔をする。
数年間、苦痛に耐えてきて……周りが助けてくれないと理解できている。
それが、どれだけ苦しくてつらいことか。
ローたちが助けなければ、あのままリルは…………

ロー)………つらい話を、させたな。
悪い。

リル)ううん、大丈夫。
話さなきゃならないことだと、思うから………

ロー)……苦しいなら、少しずつでいい。
話せる時でいい。
まだ俺たちのことを、ちゃんと信じられてないだろうしな。

リル)………

ロー)他の海賊とは違う……と、理解はできてるんだろうが………
無理に話したりして、お前が苦しがることはない。
こっちとしては、お前の抱える事情やら話してくれるのは助かるが……それでつらくなっても、俺はお前の苦しみを和らげてやることができない。
白狼についても、気になることは沢山あるが………

リル)………無理に、話してるわけじゃ……ないよ。

ロー)……？

リル)確かに、海賊は今も怖いけど……あなたたちが他とは違うのも分かってる。
私の話を、面白半分で聞いてないことも……分かる。
だから、話しても大丈夫なんだって、思えた。
怪我の手当ても、してくれて……私の身体のことも、気にしてくれた。
過去のことも、白狼一族のことも、話すのは怖いけど……信じても大丈夫って、理解はできてるから。

ロー)…………そうか。
それは良かった。