不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ14)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:1,258 hit

13 ページ14

ロー)そういえば、ペンギンたちがそんな話を聞いたって言ってたな………
お前の見た目が良いから、高い金額でも売れると考えたんだろうな。

リル)でも、高すぎる金額は逆に手をつけづらくて……私は最後まで、売られることはなかったの。

ロー)それで、あの島の屋敷主人が買った………と。

リル)うん。

ロー)その理由も、お前を養子にする為……だったよな？

リル)うん………
屋敷のご主人には、一人息子がいたんだけど……娘が欲しかったらしくて。
それで、海賊に売られてた私を見つけて、買い取ったの。
家族として、迎えようとしてくれてたけど……そのすぐ後に、あの気持ち悪い人が私を見つけて………

ロー)それから、あの変態に研究体として扱われた………
それが数年続いて、昨日俺が解放するまで続いてたんだな？

リル)………うん。

暗い顔で、頷いた。
その後もリルは、思い出したくないであろう経緯を、ローに話してくれた。
屋敷のご主人がリルを買い取って数日程で、あの研究員・パディックに目をつけられたのだそう。
パディックは、リルを見るなり「白狼一族だ！！」と大騒ぎし、屋敷のご主人に無理やりな取引を持ちかけた。
それは、リルを海軍に渡すこと。
その代わり、行方不明となった一人息子を捜索する……という、かなり無理のある取引だった。

リル)ご主人は、あの人を疑ったけど……海軍からの正式な研究員である証明も見せられて、納得するしかなかった。
警備に海兵もいたから、尚更に証拠になってたと思う。

ロー)確かに……海兵は一般人の警備なんかするわけがない。
たかが研究員一人に、そこまで警備は必要ない筈だからな。
だが……海軍公認の研究員ともなれば、海兵が警備として配属されてもおかしくはない………
それを見ただけでも、あの変態が海軍公認ってのは認めなきゃならねぇだろうな。

リル)ご主人もご主人で、息子さんを捜してほしかったから……その取引を、受けるしかなかった。

ロー)そこから、地獄が始まった………ってことか。
何をされてきた？

リル)………最初は、軽い傷がどのくらいの早さで治るのかを見るだけだった。
だけど、あの人が誤って私に毒を飲ませてしまって……そこで私が、毒の効かない身体をしていることが判明して………
それからは、本当に酷かった。
毒も、弱いものから試していって、どんどん強いものに変わっていって……最終的には、口にしただけで死ぬくらいの猛毒まで試すようになった。