不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ13)

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ロー)別に、お前の情報を何かに利用する気はまったくない。
ただ……俺たちはお前のことも、白狼についても分からないことだらけなんだ。
話せる範囲でいい、教えてくれると助かる。
………海軍が、お前を諦めたとは思えないしな。

リル)…………

ロー)だが、まぁ………お前も事情を話す相手が信用できないと、話すこともできないだろ。
だから……今は無理に訊いたりしねぇ。
俺が訊くのは……手当てに必要なことと、今の状況で必要なことだけだ。
それ以外の深い話は、お前が『話してもいい』と判断してからで構わねぇ。

リル)……どうして、そこまで…………

ロー)さぁな。
ただ………見てられなかった、ってのはある。

リル)………？

ロー)お前を見てると………昔の自分が重なる時があった。
ほんの少ししか、お前と一緒には居なかったのに、だ。
どっかで似てるんだろうな、俺たち。

柔らかく笑うローを見て……頬を染める。
何故頬に熱が集まったのか分からず、戸惑うも……ローのことは、信じられそうだと感じた。
その後、手当てが終わってリルを部屋に戻してやろうとしたが……ずっと室内にいるのもつまらないと思い、ローはそのままリルを甲板へ連れ出した。
ガチャ、と扉を開けた先は………広い海の景色。
ローからしたら、見慣れた景色だが……リルからしたら、初めて見る大海原だ。
風を受けて髪が流れる感覚も、広い海を間近で見る経験も……すべてが初めてだった。

リル)凄い…………

言葉が出ないくらい、リルは感動していた。
それだけ……彼女が外から切り離されていたのだと、実感する。

ロー)部屋に戻っても、やることなんざねぇだろ。
今は海も荒れてねぇし、穏やかなもんだからな……少しくらい、外に出ても問題はない。

リル)海……初めて、こんな近くで見た………
故郷の島にいた時は、海の近くに行っちゃダメって、お父さんに言われてたから………

ロー)故郷の……島？
そういえばお前……何処から連れて来られたんだ？

リル)あ……えっと………北の海(ノースブルー)から…………

ロー)北の海から、新世界に………？
その間、一度も売られなかったのか？

リル)うん………

戸惑いがちに、小さく頷く。
今なら詳しく話が聞けるかもしれない………そう思ったローは、甲板の手すりに背をつけて座り、リルを隣に呼んだ。
リルも察したらしく、座って話の続きを聞かせてくれた。

リル)昨日も少し、話したんだけど……設定された金額が高くて………