不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ12)

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しかし、腹の殴られたような傷痕は最近つけられたものだったのか、綺麗に消えていた。

ロー(残る問題は………右目の傷だ。
あれだけの傷痕になってたからな………
治すのにも時間がかかるだろうが………)

目以外の傷の手当てをしながら、そんなことを考えた。

ロー)さて………残るは右目だけだな。
腹の傷痕が消えてる程だ、目の周りの回復も早いんだろうが……そこは診てみないことには分からないからな。
痛かったら、すぐに言え。

リル)うん………

こくん、と頷いたのを見てから、慎重に眼帯を取る。
………薬のおかげか、それとも彼女の治癒能力の高さなのか。
右目の、火傷のような痕は少しだが治ってきていた。
まだ右目を開くまではいかなかったが、だいぶ良くなっている方ではあった。

ロー)………かなり早いな………
目の周りの皮膚が、昨日より良くなってる。
鏡で見せた方が早いか………

と、そう言うと、近くから鏡を持ってきて顔を見せてくれた。

リル)……こんなに酷かったんだ………

ロー)お前……鏡で確認もしなかったのか？

リル)部屋に、鏡なんてなくて………
ずっと、眼帯で隠してたから………

ロー)……なるほど。
つまり、昨日の状態すら見てなかったわけか。

リル)うん………
昨日が、どうなってたのかは知らないけど………

ロー)酷いもんだったぞ。
右目の周りの皮膚も、火傷の痕みたいになっててな。
普通はそこまで酷くなってりゃ、治るわけがないんだが……それもお前が白狼一族の人間で、回復能力が高いから治せてるようなものだ。

リル)………やっぱり、そうなんだ………

ロー)…………リル。

リル)ん………？

ロー)言いたくないなら、答えなくてもいいが………白狼一族ってのは、どいつも回復能力が高いのか？

リル)………

不意に訊かれた質問に、少し考えて……答えてくれた。

リル)高い人も、中にはいるけど……殆どは切り傷くらいの小さな怪我や、重傷にまでは至らない怪我を治すのが早いだけ。
腕がなくなったり、火傷のような傷痕は……治せない。

ロー)………そうか。

静かに返事を返す。
同じ一族でも、リルは……特別なんだと、改めて感じた。

ロー)今、鏡で確認したと思うが……お前の右目は火傷みたいな傷痕だ。
それが、少しずつだが治ってきてる。
普通の肌と、なんら変わらないものに変化してきてる。
お前の今の話が本当なら……それだけで、一族の人間の中でも特別なんだと理解できる。

リル)………