不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ11)

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シャチ)でもさ、リルちゃんはありそうじゃない！？
最初に助けてくれたの、キャプテンだしさ！
昨日だって、嫌いな奴を目の前で倒してくれたしさ！

イッカク)確かに……リルちゃんはありそうよね。
怪我の手当てをしたのもキャプテンだし、屋敷から助けた時も、キャプテン一人だったし。

ペンギン)昨日の軍艦での件だって、俺たち船で警戒してるだけで暴れてすらいないからなぁ………
それ考えたら、リルちゃんはあり得るのかも？

リルは海賊に連れ回されて、あの島へ来たのだ。
普通の生活など、してるわけもない。
誰かを好きになる、という場面すらなかった筈だ。
それが突然、出会って間もない海賊に助けられて、身まで守ってくれると言うのだから……特別な感情を持っても不思議ではない。

シャチ)リルちゃん、歳的にまだ10代くらいだし……歳上のキャプテンに惚れちゃうのも頷けると思う。

ペンギン)本当にそうなら、だろ？
もしかしたら……リルちゃん、恋愛感情に疎いかもしんないぞ？

シャチ)え？

イッカク)普通の生活ができなかったんだもの。
誰かに恋をする経験も、当たり前だけどなかったと思うわよ？

ペンギン)本とかも読んだりしてないだろうし、そういった感情自体、理解に苦しむかもなー。
経験してないわけだし。

シャチ)あ、そっか…………

ペンギン)まぁ、それでも……リルちゃんが普通の、人並みに笑ったりしてくれれば、話は変わってくるんだろうけど。

そんな会話で、食堂は盛り上がった。
同じ頃、ローはリルを連れて手術台の置かれた部屋へ来ていた。
リルを手当てした時に使った部屋だ。
また台に座らせると、ゆっくりと包帯を取っていく。

ロー)腹の方も見るから、服は脱げ。
昨日と同じで、診察するだけだから心配はするな。

リル)う、うん………

ローが医者であると分かってからは、服を脱ぐことに抵抗がなくなったらしい。
躊躇いもなく、服を脱いでくれた。

ロー)…………

慎重に包帯を取り、怪我の様子を診る。
薬を使って手当てしたからか、それとも毒を摂取しなかったからか……傷はかなり治ってきていた。

ロー(だいぶ早いな………
腹の方は痕も残ってねぇ。
足や腕の傷は、まだ残ってるみたいだが……腹につけられた殴られたみたいな傷痕は、綺麗に消えてる。
あれで傷痕すら残らねぇのか、こいつの身体は………)

腕や足、背中につけられた切り傷のような怪我は、長い間つけられたもののようで治りが少し遅かった。