不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ2)

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肩をすくめて話すペンギンを見てから、また不安そうな顔を向ける。

リル(あの人……怪我、しないといいけど………)

いくら強いと聞かされても、リルは不安だった。
じっ、と見ていると……軍艦の手すりに、またパディックが顔を出した。

パディック)いた………俺の、白狼ちゃん！！

リル)っ………！

ニタニタと怪しく笑う姿は、もう変態としか呼びようがない。
パディックはそのまま、手すりから飛び降りて……ローの船へと移動してきた。
その目は、リル以外を見ていなかった。

パディック)さぁ………返してもらうぞ！
俺の白狼ちゃんを！！

ペンギン)誰が返すか！

シャチ)ベポ、早くリルちゃんを後ろに！

ベポ)アイアイ！
リル、俺の後ろに隠れて！

リル)う……ん…………

青白い顔をして、身体を震わせながらベポの後ろに隠れる。
もう会いたくもなかったのだろう。
血の気が引いてしまっていたし、何より……尋常じゃないくらい、身体が震えてしまっていた。
それでもお構いなしに、パディックはいやらしい笑みを向けて近寄ろうとする。

パディック)逃げるな逃げるなぁ………
お前は、俺なしじゃ生きられない………
分かってる筈だぞ、お前は！

リル)っ…………

シャチ)それ以上……近寄るな！

ペンギン)お前なんかに、リルちゃんは渡さない！

二人が武器を構えて威嚇するも、パディックはどうでもいいらしい。
本当に、リル以外は見えていないようにも思える。

パディック)こんな海賊どもに助けられたとしても、お前に救いはない！
さぁ、分かってるだろう？
お前は……俺たちには絶対に逆らえない！！
お前たち一族は……世界政府に首輪をつけられた犬だ！
忠実に守られなければならない、俺たちのもの………
分かってる筈だ、お前はなぁ！！

リル)……………

カタカタと震えるばかりで、声すら出せなかった。
話が見えないペンギンとシャチだったが……今はそれよりも、リルを守ることが優先だった。
構えたまま、様子を見ていたが……ふと、二人の表情が変わる。
パディックは、それに気付くことなく高笑いをしていたが………

ロー)お前………勝手に俺の船に乗りやがって。
降りろ、今すぐ。

パディック)………！

ローの声が聞こえ、慌てたように振り返る。
そこには……怒った表情でパディックを睨む、ローの姿が。

パディック)お前……何故ここに！？
海兵どもは………！

ロー)あんな連中なんかで、足止めなんてできるわけねぇだろ。
時間の無駄だ。