不器用なその手は君を守る為に 2 (ページ1)

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第1章『笑顔を取り戻す為に』ページ1

軍艦の上で戦うローを、心配そうに見上げるリル。
戦闘はすでに始まっていて、剣がぶつかり合う金属音がかすかに聞こえてきた。

ベポ)キャプテン………

シャチ)大丈夫だって！
あのキャプテンだぞ？
倒されるわけないって！

ペンギン)でも、こっちに海兵が来ないとは言えないから、警戒はしとかないと。

リル)…………

シャチ)あー………と、リルちゃん？
もう少し下がってた方がいいんじゃ………

リル)………ううん。
ここに、いる。

シャチ)危ないってば！！

ベポ)俺が守るから、大丈夫だよ！

シャチ)そうじゃなくって！
敵来たら危ないからって意味！！
軍艦からも近いじゃん、ここ！
リルちゃんが怪我でもしたらどうすんのさ！？

ペンギン)そうならないように、俺たちが守るんだよ。
リルちゃんだって、怖いの我慢してここにいるんだから。
俺たちが守んなくてどうすんの。

ベポ)それに、キャプテンならこっちに敵が来ないようにしてくれると思うし……大丈夫だよ。

シャチ)そうだけどね！？
万が一ってのがあるでしょ！！

ペンギン)そん時はそん時。

シャチ)軽っ！！！

リル)…………

横でそんなやり取りを聞きつつ……リルは不安そうな顔を軍艦に向けていた。
自分の為に、ローが戦ってくれている………それが理解できているから、尚のこと心配だった。

ペンギン)………リルちゃん。

リル)………

ペンギン)大丈夫だよ、そんな心配しなくても。
キャプテンはそう簡単にやられないし、俺たちもリルちゃんを苦しめる海軍に、渡したりしないからさ。

リル)……でも………
あの人は……私の、代わりに………

ペンギン)そんなの、気にしなくていいんだよ。
キャプテンだって、リルちゃんが戦えないのは分かってたことなんだし。

ベポ)それに、リルがこれ以上苦しまないようにって、一人で助けにも行ったんだよ！

ペンギン)俺たちも行きたかったけど、キャプテンがどうしても聞いてくんなくて………
帰って来た途端、慌てて「船出せ！」って。
それだけ、リルちゃんを苦しめるものから離したかったんだろうね。

リル)…………

ペンギン)俺らもさ、こんだけ苦しい目に遭ってきて抵抗もできない女の子を、見捨てるようなことはできないんだよ。
海賊は自由で、善人ではないけど……それでも、放ってはおけなかったんだ。
キャプテンだって同じだよ。
リルちゃんを……見捨てられなかった。
まぁ、嫌がってはいるけどね。

リル)………