不器用なその手は君を守る為に

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リル)……お医者さんだから、私の怪我、手当てできたんだ………

ロー)今更か。

ペンギン)まぁ、仕方ないっすよ。
それより、リルちゃんをこれからどうするか……決めないと、ですね。

イッカク)でも、やっぱり先に……この島でのことを知らなきゃいけないと思う。
言いたくないだろうけど……リルちゃんの扱い、明らかに異常だもの。

ロー)そうだな………

リル)………

やはり抵抗があるらしい。
嫌そうな顔をしていた。

ロー)……とりあえず、お前が話せることだけ、話してくれ。
もちろん、自分の出生に関して話したくないなら話さなくていい。
俺たちが知りたいのは、お前がここまで傷だらけにされた理由と……海軍が何をしてるのか。
そこを知りてぇ。

リル)…………うん。

小さく頷いてから、みんなで話を聞く。
リルが話してくれた内容が、あまりにも苦痛でしかなかったのは……聞く前から分かっていたことだった。

リル)さっきも、少し話してた……けど………
海軍の研究員が、私を見つけて研究をし始めたの………
それが、数年くらい前。

ペンギン)てことは……もう何年も傷付けられてきた、ってことか………

リル)最初は、ナイフで切り傷をつけて、何日で回復するかを見るだけだった。
怪我の治りが異常に早いから、どのくらいなのかを見る、って………

ロー)それが徐々に酷くなって……今に至るわけだな。

リル)うん………

ロー)だが……それだと傷は治ってる筈だ。
俺が見た時は、治るどころか悪化してる部分もあったし、傷痕として残ってるものもあった。
完治してるとは思えない。

リル)これは………2年くらい前に、酷くなったせい。
深手を負わされて、同時に毒も………
だから、優先的に治す箇所だけ先に治して、他が後回しになったせい………

ロー)優先的に治す………？

ペンギン)もしかしなくても、それって………

ロー)即死……まではいかなくとも、普通ではすぐ死ぬくらいの箇所も、傷付けられてるってことか？

リル)………うん。

シャチ)なんだよ、それ………！
そんなん、人じゃねぇよ！！

イッカク)やってることが非道すぎる……！
そんなの、逃げ出したくなるに決まってるわ！！

ロー)追加で言えば……優先的に治すとこだけ治しつつも、毒を何とかしなきゃならなかった。
二つ同時に行ってるせいで、他の箇所が疎かになり、痕として身体に残っちまった………
だから、今日まででここまでの傷として出来上がっちまった、ってことだな。

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