梅おにぎり＊梓＊ ページ8
※払梓表現あり
もし、彼が
彼らが生きていたら、
どうなっていたのかしら
みんなで降りて来て、
集まって
思い出話をしながらカロパしたのかしら
…あの人は、お米を届けに来たのかしら
その時は私も、もしかしたら…
もしもの話をするのは、自由だって誰かが言ってたわ
所詮その人の妄想だもの
誰に危害も与えない、夢物語
それでも、一つだけ確かなことがある
たとえどんな結末だったとしても
私たちは、また山に登るのでしょう
山で出会い、山で終わった彼らが
山にいると信じて
ザクザクと、白く覆われた山を昇っていく
呼吸する度にふわりと、白い息が立ち上り
ゆらゆらと揺れて消えた
「梓さん、大丈夫ですか？」
「…ええ、平気よ。」
今の仲間が、声をかけてくれる。
それでも疲れてきているのね
自分の限界を感じつつ、キャンプしている彼らの所へ近寄り、端へ座る
「梓さん、隣いい？」
「ええ、どうぞ」
彼はこのグループのリーダー。
私よりも若いのに、とてもたくさんの山を昇ってきたのだと言う。
「何か食べます？俺、うどん持ってきましたけど…」
「大丈夫よ。私も持ってきてるわ」
そっと、バックパックを開けて、あるものを取り出す
取り出したものを開ければ、ラップに包まれたそれが顔を出した
「…おにぎり？」
「梅おにぎりよ」
「えっ、でも凍ってません？暖かいもののがいいですよ、俺うどん分けますけど」
「いいのよ」
「え？」
「…これが、いいのよ」
ひとくち口に入れる。
やっぱり固くて、冷たくて
普段は食べれたもんじゃないけれど
どうしても、これが良かった
"梓ちゃん、俺、おにぎり持ってきたんだけど…"
"なんで私の好物知ってるのよ"
"お茶もあるよ！"
"だからなんで知ってるのよ！！"
未だ、はっきりと思い出せるあの会話
私言った覚えないのよね
…まさか、調べたのかしら
…まぁ、美味しかったから、いいのだけれど
でも、一人で食べて思うのよ
もしかしたら、一人じゃなかったから
あんなに、美味しかったのかもって
(あなたの届けてくれたお米で、食べてみたかった)
(約束くらい、守りなさいよ)
続く
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綾 - なんか、目から水が…。本当にこうだったらいいなぁって思いました。幸せになっててほしい… (2020年5月15日 11時) (
レス) id: ac40376d9f (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷(プロフ) - 卑怯です...こんな小説を見たらセッションを思い出して泣くしかないじゃないですか！！！（号泣） (2020年5月6日 20時) (レス) id: e33be92d37 (このIDを非表示/違反報告)
ごじたん - はんぺん"ん"、ハンカチを貸していただきます！題名は「愛しの君と毎日を」という作品です！こちらこそありがとうございます！ (2020年5月5日 23時) (レス) id: 37467f4d32 (このIDを非表示/違反報告)
天羽グリ(プロフ) - ごじたんさん» ありがとうございます、良ければこのはんぺ…ハンカチをどうぞ(そっ) えっいいのですか！？とても嬉しいです…！もし本当に紹介してくださるのでしたら、良ければその小説の題名など教えて頂けたら嬉しいです…！ありがとうございます！ (2020年5月5日 21時) (レス) id: 03122c1a20 (このIDを非表示/違反報告)
ごじたん - 涙腺が崩壊しました。涙が止まりません、どうしてくれるんですか！？あなたは神過ぎませんか！？僕の小説で紹介してもよろしいでしょうか？ (2020年5月5日 20時) (レス) id: 0daea0f1ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天羽グリ | 作成日時：2020年5月5日 4時
