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母「本っ当にありがとうございました…お世話になりました…」


深々と頭を下げる母に、


シルク「いえいえ、僕らもAさんには色々と助けてもらったので…」


上手く応えるシルクさん。


『すみません』『ありがとうございました』


そんな言葉が飛び交う中、私は黙ってマサイさんを見つめる。


彼には感謝しかない。


なのに私は、申し訳ないことばかりしてしまった。


現実的な事も、もちろんある。


でも、一番は、彼の気持ちを振り回してしまったこと。


突然ここに来て、余計なことをして、想わせておいて、急に出ていく。


…本当に、最低だなぁ、って。


やっぱり、恋なんて私には向いていない。


そう思うと同時に、昨日の言葉が、彼の声でよみがえる。


これをこの短い間に何度繰り返しただろう。


嬉しくて……酷く寂しくて。


本当は、伝えたかった。


同じ気持ちだってこと。


でも、伝えてしまったら、もっと寂しくなるんじゃないか、辛くなるんじゃないかって思った。


だから、「ありがとう」としか言うことができなかった。


少し後悔している。


これで精一杯だった。


これが正解なのか、私には分からない。


これを彼がどう受け取ったのかも、私には分からない。


どうか…少しだけでも、伝わっていてほしい。


目が合って、彼は寂しそうな笑顔を見せる。


私も同じような笑顔を返す。


母「では、失礼します。ありがとうございました。」


「…ありがとうございました。」


私も母に続いて頭を下げた。


シルク「じゃあ、またね。Aちゃん。」


「はい。また。」


マサイ「Aちゃん、」


マサイさんは、一瞬何か言いたげな表情をしたが、すぐに笑顔を作る。


マサイ「…またね。」


私は笑って頷く。


…最後、上手く笑えていたかな。

 

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マサイ愛 - とっても面白かったです! (2020年1月31日 15時) (レス) id: ab2e31f108 (このIDを非表示/違反報告)
もちきなこ - まりささん» ありがとうございます! (2018年10月24日 17時) (レス) id: 0ae4718a03 (このIDを非表示/違反報告)
まりさ - 完結おめでとうございます。面白かったです!続きも読ませていただきます。本当にお疲れ様でした! (2018年10月24日 7時) (レス) id: aed1f7157f (このIDを非表示/違反報告)
もちきなこ - 皆様ありがとうございます! (2018年10月21日 16時) (レス) id: 0ae4718a03 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃい(プロフ) - 書いてほしいです!このお話、rとても楽しく見させていただきました。続きがみたいです! (2018年10月21日 15時) (レス) id: db31bc5097 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちきなこ | 作成日時:2018年9月26日 18時

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