お魚さんの家に落ちてきました。2【Fischer's】

64 ページ19

いつか話すと言った、“いつかの話”をしよう。


私は、人に迷惑をかけるということがすごく嫌いで、人に頼るということがすごく苦手だった。


何でも一人で解決して、終わらせてしまう。


だからか、人から頼られることが多くあった。


それは全然嫌じゃない。


頼られることで、自分が必要とされていると感じることができたから。


…“恋”というものは、私には苦手なことだと決めつけていた。


人に頼ることをしない私が、上手くできるとは思えなかった。


…それと、もう一つ、私が恋をすることを拒んでしまった理由がある。


それは私が実際に経験したことなのだが…この話は単なる昔話。だから、聞いても嫌いにならないでほしい。


…学生の頃、私に想いを寄せたという男子生徒がいた。


その男子生徒の気持ちは、ありがたく受け取るべきだったのだろう。


でも、私にはそれが出来なかった。


…噂だったんだ。


私がそれを知ったのは。


周りの生徒の噂話から、私にそう伝わってきたんだ。


まあ、噂が流れていたら、“冷やかし”なんて行為も多くなるもの。


私のことで、その男子生徒を周りの生徒が冷やかしている光景に、笑い声に、私は耳を塞ぎ、目を背け続けた。


そうしているうちに私は、私に想いを寄せたその男子生徒に対し、“迷惑だ”と感じてしまった。


私に想いを寄せなければ、私が迷惑だと感じることはなかった。


…そう思ってしまったんだ。


それなら、恋をしなければいい。好意を持たせなければ、異性から好かれないように、好かないようにすればいい。


迷惑が嫌いな私は、そんな酷く冷たい考え方を持ってしまった。


…貴方の所へ来るまで、その考えが変わることはなかった。

　

.→←63

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す