お魚さんの家に落ちてきました。【Fischer's】

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体の曲線に沿って水が伝っていく。


それに紛れるようにして、目から涙が流れる。


…神様は、なぜこんなことをしたのだろう。


家族や友人の中の“私の存在”を消してしまうのなら、いっそのこと“私”を消してくれれば良かったのに。


…考えていても意味がない。


それに、お風呂を借りているのに、あまり長く使うのも申し訳ない。


シャワーを止め、綺麗にしてから浴室から出ると、バスタオルと服が畳んで置いてあった。


さっき、マサイさんが用意してくれたのは、これで間違いないだろう。


バスタオルで体を拭き、着替えを始める。


…Tシャツか……


まだ暑いし、借りておいて文句など言えやしないが…


「…大きいな……」


下はジャージなので、長い分はまくれば問題ない。


ただ、Tシャツは…これはもう、どうしようもない。


いつもより首元が広くあいている。


そもそも、私は肌を露出することが嫌いなのだ。特に人前では。


なので、短いスカートなんかは滅多に履かない。


……スースーする…落ち着かない…


さっさと髪乾かそう…







　



　




　








さっき聞いた話では、マサイさん達は7人グループのYouTuberなのだそう。


“フィッシャーズ”という名前で活動していて、全員私より2つ歳上。


“フィッシャーズ”と聞いて、やっと思い出した。


あの時…音楽を聴いていて、その後にYouTubeで、彼らの動画を見たんだ。


…すごく楽しそうで…羨ましく感じていたんだと思う。


それが、どうしたらこの状況に繋がるのか、全く分からないが…


……よし、これでいいか。


乾いた髪を整えて、深呼吸を1つ。


少し首元を気にしながら、私はリビングへ戻った。

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