CRYSTAL (ページ4)

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「………え？ラウール？」
「そうだよしょっぴー！朝だよ！」

寝ぼけた状態ながら渡辺は声をかけたのがラウールだと認識できたらしい。
しかし顔は枕に埋められたままだ。
ラウールとて渡辺が一度で起きるとは思っていない。

とりあえず放置して他の人を起こしに向かうことにした。

すぐ近くにある深澤の部屋の扉をノックしようとした時だ、ちょうど中から深澤が出てきた。

「お、ラウじゃん。早いね」
「おはよ！今日は俺がみんなを呼びに行く係してるの」
「そうなの？えらいじゃん。それなら照と康二は一緒に庭にいたよ」
「え～珍しいね。ちなみにめめは？」
「めめはまだ部屋に居るんじゃない」
「分かった！ありがと。…ついでにさ、しょっぴーと佐久間君連れてってくれない？」
「はいよ～」

深澤がすんなり起きていたのはラッキーだ。深澤に任せれば渡辺も大丈夫。
佐久間はまだ寝ているだろうが深澤が何とかしてくれるだろう。
あとは目黒だ。彼は朝は苦手だがそこまで酷くはない。

「めめ～起きてる～？」
「起きてるよ。飯？」
「そう！」
「分かった」

珍しくラウールが訪れたことに特に疑問を持たないのが目黒らしいなと思いつつ、また階段を降り今度は庭へと向かう。

そこには謎のトレーニング機械を使う岩本とその様子を絵に描いているらしい向井が居た。

「あれ、ラウやん！どうしたん？」
「朝ご飯に呼びに来ました～」
「もうそんな時間か」
「後は2人だけなの。行こ！」

岩本が使っていた機械を片付け、向井もスケッチを中断して立ち上がった。
これで宮舘に頼まれた任務は完了だ。

「それにしてもラウが呼びに来るなんて珍しいやん」
「今日変な夢見て早く起きちゃったから」
「変な夢？」
「なんかね、大樹のところに祭壇があって、そこから景色を見てるの」
「…その夢俺も見たな」
「岩本君も？」
「いやまぁ今日じゃないんだけど」
「へぇ～不思議なこともあるもんやな」
「康二君はないの？」
「今のところはないなぁ」

高い魔力を持つ者が見る夢は、なんてことない物でも予言だったりすることがある。
後でみんなに聞いてみようかなと考えていると、食べ盛りのラウールの食欲をそそる匂いが漂ってきた。

再びダイニングに入ると、テーブルには3人を除く全員がすでに揃っている。

「ラウール助かったよ。ありがとうね」
「いいえ～。舘さんもいつもありがとう！」

素直に感謝の言葉を述べる最年少を全員が微笑ましく見つめていた。