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「どういうことだ、ホークス。ショートがどうしても俺に会いたいらしいとお前が言うから、ベストジーニストを振り切ってまで執務を中止したんだぞ」
「さぁ、正直に申し上げますと俺の方も初耳でして。まさかお客人方までついてこようとは」
「竜族が客人だと？」
燃え募りそうな剣幕で王に問い詰められても、ホークスは飄々とした顔色を崩さない。分別といい、物腰といい、年長者でも追い付かないくらい完成されている。高慢だけがみっともなく纏わりついたそこらの貴族など足元にも及ばないだろう。
初耳だなんて、平気な顔をしてよく言う。こちらに上手く転ぶよう計らってくれたからいいものの、頼りにはなるが信用のしすぎは命取りになりそうな男だと思った。利害を超えた関係になれば、頼もしい味方になるのかもしれないけれど。カツキさんに問答無用で攻撃をしかけた彼に対し、私はあまりいい心象を抱いていなかった。
複雑な心境の私を置いて、カツキさんは臆すことなく口角を吊り上げて言った。
「俺がその客人だ。もっとも、ただの竜族じゃなく、一族の長だけどな」
私は一瞬、言葉を失った。しかし同時に奇妙な納得も心の中にあった。思えば、彼にはそうした風格を感じさせる瞬間がいくつもあった。もはや驚くことは何もない。
「にわかには信じられんな。お前があの竜族の長だとは」
「なら今すぐここで竜になってやろうか」
彼の声はあくまで落ち着いていたけれど、その場にいた者は急にしんとなった。王だけでなく、今はカツキさんの口調にも、挑戦的な唸りがはっきりと窺われた。鞘から抜かれてきらりと光るつるぎのように。
竜があの爪のある脚をちょっと動かすだけで、目の前の王の首などたちまち胴から引っこ抜いてしまうだろう。水に浮かぶ落ち葉が小石ひとつで沈められるように、規模こそちがえ、竜さえその気になればこんな中庭などあっという間もなく打ち砕かれ、地の底に沈められるに違いない。
とはいえその気がカツキさんにないのは、彼の目つきからわかっていることだ。
「……やめておこう。争いは本意ではない」
「そうこなくっちゃァな。王ってモンは常に偉大で賢明であるべきだ。だが、残念なことにどの時代でもそうってわけにはいかねえ。俺ァもう愚王には飽きたぜ、あんたならちっとはマシな話し合いができんだろ」
カツキさんの言葉に迷いはなく、清々しいほどの切れ味がこもっていた。今この瞬間、彼は王と対等になってみせたのだ。
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えとり(プロフ) - 瑞樹さん» 書き込みからお褒めの言葉までありがとうございます……！ゆったりとした更新ですが、応援していただけてとても嬉しいです^^ (2022年10月26日 20時) (
レス) id: 3ae1089047 (このIDを非表示/違反報告)
瑞樹(プロフ) - 文才があり過ぎて本当に尊敬します……。丁寧な描写がとても素晴らしいです！ 応援しています！ (2022年10月25日 19時) (レス) id: 943a21922c (このIDを非表示/違反報告)
えとり(プロフ) - ぴょんきちまるさん» 素敵な書き込みありがとうございます、その言葉に、私の心も嬉しさで痺れました…！続きもお楽しみください^^ (2022年10月15日 20時) (レス) @page22 id: 3ae1089047 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょんきちまる - とても素敵な作品！読んでいて、凄く痺れました！わくわくしました。こんなにも次の話が楽しみで仕方ない作品に出会えて幸せです。 (2022年10月15日 11時) (レス) id: 94182d8a2a (このIDを非表示/違反報告)
えとり(プロフ) - enhy7さん» 書き込みとても嬉しいです…！体が浮いて飛び去ってしまいそうな、幻想的で素敵な曲のご紹介もありがとうございます。物語を引き続きお楽しみいただければと思います。 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 3ae1089047 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えとり | 作成日時：2022年9月12日 10時
