その恋は、最初で最後の恋だった。

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20＊1年、2月24日、晴れ

こんなにも不機嫌なあいつを見たことがあっただろうか、そのくらいに今日、あいつは不機嫌だった。
その理由はあいつの目の前にいる男。詳細はまだ不明。だが恐らく兄かなんかだろう。


「い〜ちゃん大丈夫？痛いところがあればすぐにいちゃんに言うんだよ」

「チッ」


返事の代わりに舌打ちを返すあいつ。「い〜ちゃん」というのはあいつの本名だろうか。
にしてもあいつの兄への嫌いよう。見ていて哀れ……可哀想になる。

そのまま経緯を見ていると男が始めて俺に気づいたように言った。


「なんでい〜ちゃんの病室に男がいるの？」


思わず肩がこわばる。こっちだってなりたくてなったわけじゃない。


「気づいてあげられなくてごめんね。今すぐ先生に言ってあげるから」


そう言い携帯を取り出す男にあいつは絞り出すような声を出す。


「帰って」

「でも……っ」


男は言いかけるが、荷物を持って部屋を出て行った。俺を睨むのを忘れずに。

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