V.I.P. (ページ1)

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Episode1 ページ1

頭に響くようなディスコサウンド

たくさんの人がひしめき合うフロア

バーカウンターでのナンパ

それを横目にシェイカーを振るバーテンダー

フロアの左右の階段の先にある V.I.P. room

V.I.P. roomの前にはフロアを一望できる広いスペース . そこから女性を見定める男が二人

何もかもが日常からは程遠い景色だった

＿＿＿＿＿＿＿" あの子よくない ? "

＿＿＿＿＿＿＿＂連れてきて＂

．

．

友達に誘われて初めてクラブというものに来てみたはいいけどこの独特の雰囲気に全く溶け込めずに居て

私を連れてきた当の本人はイケメンを見つけて私を置いたまま踊り明かして帰って来ないから

バーカウンターで1人頼んだお酒を呑んでいる

カタン．

突然隣のチェアの動く音が鳴ったかと思えばふわっと香った香水に目を向けると

「隣座って良い ? 」

「俺はローズ . この仔にシェリー酒」

おそらく私を見ているだろう彼の顔は照明の暗さからよく見えない

何も言わず黙った侭の私へと差し出された見たこともないお酒をそっと流し込む

『美味しい、

「ほんま ? それ結構度数高いから気を付けて」

思ったよりも飲みやすく優しい味に思わず言葉を溢した私に言い聞かせるように言うと

「それ飲み終わったら行きたい場所あるから付いて来てくれるか ? 」

問い掛けた割には私の返事なんて聞く気は無さそうで
カタ、と音を立てチェアから立ち上がると私の腕を掴んだ

「ほらあと一口やから早よ飲んで」

急いで流し込んだ最後の一口を私が飲み込んだことを確認すると私の言葉も聞かずに歩き出してしまい

半ば引き摺られる様にして付いていくとスタスタと V.I.P.room へ続く階段を上っていく彼に思わず立ち止まる

「ん ? 」

『どこ、行くの』

「秘密。どうせもう引き返されへんから大人しく付いて来て」

そう言うと冷たく見える切れ長の目に下のフロアを映した彼は私へと軽く微笑む

連られる様に下へ目を向けると沢山の冷たい視線が私に突き刺さる . 渋々また歩き出すと気がつけば V.I.P. room の扉が目の前にあった

「さっきのお酒の意味教えたるわ」