#8 さっと使ってすさっと変わる ページ8
「ドラコ。もうじき到着だぞ」
「ん、…んんー…。」
「…男の膝枕でよく寝惚けるまで熟睡出来るよなあ」
そんな呟きも彼にも聞こえていないようで、唸りながら寝返りを打っている。そんな身動ぎしたらオールバック崩れるんじゃないか？
そろそろ着替えを済ませたいんだが、と思いながらドラコを見つめていると、彼はしぱしぱと瞬きをしながら私を見上げた。
「…もうつくのか？」
「あと二、三時間ってところだな。とりあえず着替えなり何なり準備を済ませたい」
「わかった…起きる。」
お、意外と素直。
上体を起こした彼は軽く伸びをして欠伸をひとつ。ふと私の手の中の小説を見て、あ、と声を上げた。私を小さく笑って本を閉じる。
「借りてた」
「…ああ。どうだった？」
「推理小説だと思ってたらサスペンスだった」
「分かる。」
主人公が探偵役だと思ったら犯人だった。
意外と魔法界の奴でもそういうの書くんだな、と思った。マグルの方だと結構こういうの書く作者居るんだけど、まさか魔法使いにもいるとは。
「ドラコも意外とこういうの読むんだな」
「普段は読まない。偶々持ち出した本がこれだった」
「なるほど。」
はい、とドラコに小説を返せば、ん、と彼はそれを受け取る。解けた髪を撫で付けてやれば彼は頭の状態を察したようで、｢直してくる｣と言ってコンパートメントを出て行った。
私はそれを見送り、手で服を払ってふわっとローブに着替える。彼らの魔法には基本的に呪文が必要らしいけど、こういうときは普通に着替えるんだろうなあ。
私も魔法が使えない頃はそうだったけど、今となってはそれも面倒くさい。ただ、まあ、魔法のほとんどは過程を省いた技だから。うん。
「…ホグワーツ魔法魔術学校、か…。」
聞けば今年は賢者の石を預かる年でもあるという。尚更ヴォルデモートに狙われるような気がするが、偶々か、或いはそれがアルバスの企みなんだろう。
どうなることやら、と思いながらも、私は事に深く干渉するつもりもなかった。私が英雄になるのは違う、と。それは私の直感だ。別に有名になりたいわけでもないし、有名になったからって何をしたいでもないし。何より、英雄だからって何かを期待されるのは面倒くさい。
「…ん。なんだ、もう着替えたのか」
「おかえり。イケメンになったじゃん」
「さっき見たものは忘れろ」
「断固拒否する」
すげー睨み付けてくるから不敵に笑ってやれば面食らった顔してて笑った。
#9 ホグワーツまでの道中→←#7 最古の魔法使いを枕扱いか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 386人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エトーカ(プロフ) - uetoさん» 自分のことを“私”という男です。年長者の爺なので落ち着いた雰囲気を示してみました。 (2018年6月18日 20時) (
レス) id: 8fe5c80859 (このIDを非表示/違反報告)
ueto - 主人公の性別はどっちですか？男主と書いてあったけど自分のこと私と言ってますがどっちですか？ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 20012f22cd (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - 殺覇さん» ありがとうございます！久しぶりに、というお言葉はとても恐れ多いですが、とても嬉しいです！恐縮ですが、もう少々お待ちいただければ幸いです。ありがとうございました！ (2018年4月8日 16時) (レス) id: 845d19f462 (このIDを非表示/違反報告)
殺覇(プロフ) - 一気に読みました。続きを早く読みたいと思わせてくれる作品でした！久しぶりにいい作品に出会えた気分です。続編楽しみにしています！ (2018年4月8日 15時) (レス) id: fdc91a3e02 (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - ヒロさん» ありがとうございます、コメントお待ちしておりました…！私も書いてて夢主のようなお兄ちゃんが欲しいですw公開はもう少々お待ちください、ありがとうございました！ (2018年4月8日 13時) (レス) id: 845d19f462 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エトーカ | 作成日時：2018年3月25日 19時
