#28 どいつもこいつも弟子希望 ページ28
「…泣くなとは言わん。だが、泣きたいときは私を呼べ。お前が望むなら、黙って傍に居てやるよ」
「……はい。」
小さな声で応えた彼に、私は子供扱いするように彼の頭に手を乗せて撫でてやった。
普段の彼ならツンとして触れさせてもくれないから、こういうときに存分に触れてやれ。
「……お時間は、宜しいのですか。師匠」
「うん？…ふふ、大丈夫さ。やってやれないことはない」
せっかくお前が触れさせてくれるんだから触らなきゃな、とおどけてみせれば、少しの沈黙の後に頬に触れたままだった手に擦り寄られた。
％
「あ。なんだ、部屋にいないと思ったら先に教室に来ていたんだな」
「んー。おかえり、ドラコ」
「…ここは君の家か何かなのか」
「ジョークジョーク」
律儀に突っ込んでくれるお前が好きだよ、ドラコ。これがセブルスだったら絶対スルーするからあいつ。
変身術の教室の中、猫に変身したミネルバとの無言の空気ときたらやりにくいことこの上なかった。素知らぬ顔して気付かないふりして教科書読んで誤魔化してたけど、これで彼女がどれだけ誤魔化されてくれただか。でも教科書を読む行為は有意義だった。
私のと一般のとで擦り合わせをするにせよしないにせよ、その違いを知っておいた方が良いのは明白だ。それは所謂目立たないための方法を知ることでもあるし、セブルスにこれから教えるにあたってはどれが違ってどれが近いかを知っておくことは決して無駄ではない。
当然のように私の隣に腰掛ける彼に内心で笑いつつ、教科書を閉じて頬杖をつく。
「……A。教科書、読んでて何か掴めたか？」
「んぇ？いや、まだ教科書の触り読んだだけだし…なんで？」
「君なら魔法の感覚を掴むのは早いだろう？僕にも教えてほしいんだ」
「へっ？いや、無理だって！だって魔力があったって知識が無いんだ、教えられるレベルになるのもいつになるやら」
「僕が自分の力だけで勉強するより君に教えてもらえたほうが絶対早いんだよ！」
「無茶言うなよ、それって私に師弟子の真似事をやれって言ってるようなものじゃんか！」
「僕は！一刻も早く君に並びたいんだ！」
「もぉお最善を尽くすよぉお！」
なんで私のお気に入りはみんなそういうのに積極的なんだ…！駄目だとは言わないけど、まさか私の本来を知らないドラコにさえそういうお願いをされるとは！
何かを教えるのに向いている認識はないんだけれど、こうも師匠をやる機会が多くなるなんて…！
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エトーカ(プロフ) - uetoさん» 自分のことを“私”という男です。年長者の爺なので落ち着いた雰囲気を示してみました。 (2018年6月18日 20時) (
レス) id: 8fe5c80859 (このIDを非表示/違反報告)
ueto - 主人公の性別はどっちですか？男主と書いてあったけど自分のこと私と言ってますがどっちですか？ (2018年6月13日 21時) (レス) id: 20012f22cd (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - 殺覇さん» ありがとうございます！久しぶりに、というお言葉はとても恐れ多いですが、とても嬉しいです！恐縮ですが、もう少々お待ちいただければ幸いです。ありがとうございました！ (2018年4月8日 16時) (レス) id: 845d19f462 (このIDを非表示/違反報告)
殺覇(プロフ) - 一気に読みました。続きを早く読みたいと思わせてくれる作品でした！久しぶりにいい作品に出会えた気分です。続編楽しみにしています！ (2018年4月8日 15時) (レス) id: fdc91a3e02 (このIDを非表示/違反報告)
エトーカ(プロフ) - ヒロさん» ありがとうございます、コメントお待ちしておりました…！私も書いてて夢主のようなお兄ちゃんが欲しいですw公開はもう少々お待ちください、ありがとうございました！ (2018年4月8日 13時) (レス) id: 845d19f462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エトーカ | 作成日時：2018年3月25日 19時
