我ら、亀甲捜索隊 ページ6
その日も、いつも通りに出陣していた。
賽を振るのも、敵を倒すのも、いつも通りの筈だった。
だけど、その日は何かおかしかった。
「主くんからの連絡、来ないの？」
「ええ。おかしいですね……」
燭台切と江雪が、端末をいじりながら顔を見合わせる。
普段なら、敵を倒し終えれば何かしらの指示が来るはずなのだが、今日はそれがない。
例え何か他の事をしていても、敵を全滅させれば審神者が持つ端末がアラームを鳴らす為、気づかない事は無い筈だ。
実際、今まではどんなに忙しくても、戦闘が終われば、必ず指示をくれていた。
「……戦闘が、終わっていないのでしょうか？」
「でも、みんな倒したんちゃいますの？」
太郎太刀と明石は、辺りを見回して敵の残党がいないか探す。
だが、見つかるのは、足元に落ちている、敵の残骸である刀だけだ。
おかしいと首を傾げていたら、部隊長である大倶利伽羅が、ぽつりと呟いた。
「……苦無が一振り足りない」
その言葉に、周りは慌てて確認をする。
脇差が二振り、大太刀が二振り……そして、苦無が一振り。
「……本当だ。いつの間に一体いなくなってたんだろう」
「……もしかしたら、あれかなあ」
それまで何か考え事をしていた青江が、そう声を上げた。
それに江雪が問いかける。
「心当たりがあるのですか？」
「ああ。僕達の他にも、どこかの部隊が来ていたようで、白い服の刀剣が一人でいるのがちらっと見えたんだよ。すぐに立ち去ったから、仲間と合流しに行ったんだと思ったけど……」
「……もし、まだ合流出来ていなかったら危ないね」
燭台切の言葉に、一同は頷く。
「どないしますのん、部隊長殿？」
「……苦無とその刀剣を探す。全員中傷かそれ以下で刀装も無事だ、あと一体程度ならなんとかなる」
「そうだね。というか、敵を全滅させたアラームがないと、主くんも気がつかないだろうしね」
燭台切はそう言いながら、困ったように肩をすくめた。
我が家の主は、どうも物事に熱中しすぎる所があるのが困りものだ。
「決まりだね。じゃあ、僕がある程度まで先導するよ」
「お願いします」
彼らは青江の先導の元、街へ駆け出した。
亀甲捜索の予定がとんだ誤算だと、明石は心の中で一人ため息を零した。
(自分、面倒な事は嫌なんやけどなあ……)
そんな明石の心の声が実現してしまうまで、あと僅か。
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時雨 - 杜若てふさん» はい！！どんだけゆっくりでも大丈夫です！応援してます(*`ω´*) (2016年12月4日 21時) (
レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
杜若てふ(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます！超スローペースですが、応援してくださると嬉しいです (2016年12月4日 20時) (レス) id: 6788579c01 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - すごく面白いです！続き楽しみに待ってます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年12月3日 16時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杜若てふ | 作成日時：2016年10月18日 8時
