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決断 ページ12

「改めましてー、この本丸の審神者くんでーす。よろー」
「は、はあ……」

聞いていると眠くなりそうな間延びした声。癖のついた前髪は目を隠すほど長い。だぼっとした、というか明らかに大きすぎる長袖を着ていて、萌え袖だわ肩が出てるわ……

……なんというか、ゆるい。色々とゆるい。
よろーって。なんだそのヨーソローのソを言いそびれたみたいな挨拶。

先程まで身構えていただけあって、思わずその場に崩れ落ちそうになった。

「……助けてくれて、ありがとうございます」
「いえいえー、刀剣男士が困ってたら助けるのは審神者として当然ですからねぇ」

審神者は、対して気にしていないらしく、さらりとそう口にした。
当然だ、と簡単に口に出せる審神者の強さが、羨ましかった。

俺は、この本丸について説明する審神者の間延びした声を聞きながら、ぐるぐると頭の中を巡る思考を、なんとか一つに纏めようとしていた。



「……あ、審神者名教えてないですねぇ。加賀美望(かがみもち)と申しますですー」

……なんて言う審神者の言葉と共に、纏まりかけていた思考が霧散して、一気に脱力した。
鏡餅て。この人のネーミングセンスどうなってるんだ。

じわじわと込み上がってくる笑いを必死に抑えながら、先程まで考えていた事を再び纏めた。



「……改めて、名乗ります」

笑いが収まったあと、1度目を閉じて、本来の天鉄刀の声と姿を思い浮かべた。

「俺は天鉄刀。隕石混じりの現代刀っすよ、マスター!」

入手時の台詞を、一字一句、間違えずに名乗った。



これが俺の選んだ道。

俺は、一時的に天鉄刀になりきる。
そして、時が来たら自ら折れて、俺の天鉄刀が与えてくれた体を、本霊に返す。

……本当は、今すぐにでも事情を話して、折れた方がいいのだろうけど。

かがみもちなんてふざけた名前の審神者の声を、俺を助けてくれた亀甲の声を、もう少し聞いていたいと、そう、願ってしまった。



(俺を助けて消滅したお前らの為に、必ず成し遂げるから、だから……)

もう少しだけ、あの2人の声を聞いていたい。

終わり ログインすれば
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時雨 - 杜若てふさん» はい!!どんだけゆっくりでも大丈夫です!応援してます(*`ω´*) (2016年12月4日 21時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
杜若てふ(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます!超スローペースですが、応援してくださると嬉しいです (2016年12月4日 20時) (レス) id: 6788579c01 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - すごく面白いです!続き楽しみに待ってます(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年12月3日 16時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杜若てふ | 作成日時:2016年10月18日 8時

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