睡眠薬 ページ22
A side
その日の夜中、僕は集合場所となったいつもの広場でグルッぺンを待っていた
ボーッとベンチで待ってると、向こうから足音が聞こえてきた
gr「すまん、待たせたな」
『いいよー！全然大丈夫』
グルッペンが僕に手を振りながらこちらに歩いてくる
漸く任務が遂行出来るな、と思ったと同時に問題も発生した
いくつもある街路樹、少し遠くの民家の屋根の上から気配を感じる
あの気配の消し方、僕を観察している事からしてきっと我々国の幹部の人だろう
そりゃそうだよなぁ、よりによって大事な日の前に自分達のボスが呼び出されるんだから、何かあるって勘ぐっちゃうよねぇ……
gr「ん？どうかしたのか？」
行かないのか？と聞かれて僕はハッと意識をグルッぺンに戻した
『ううん、なんでもない。行こう』
僕は幻のカフェに続く路地の前に案内する
そこから少し入り組んだ裏路地を進んでいけば、バイブリーの小綺麗なカフェに着いた
看板には【Cafe Skjule】と書かれている
『ここだよ！早速入ろう』
gr「なるほど、ここが……」
相変わらず感じ取った気配は着いてきていて、こちらの様子をずっと見ているようだった
これにグルッぺンは気づいているのか、居ないのか、それとも敢えて無視しているのか……
さすが、場数を踏んできただけあって隠すのが上手いなぁ
『じゃあ、僕はこれ頼もうかな！』
gr「じゃあ私はこれを」
他にお客さんはいなくて、僕達だけだった
頼んでいたものがすぐに来て、それからケーキを食べながら世間話をする
気づかれないようにちらりと外を確認する。今はあの気配は感じない、やるなら今だ
『ちょっとトイレ行くね！』
僕はトイレに行くフリをして、ハンカチと粉状の睡眠薬を用意する
睡眠薬をシャツの裾に隠しておいて、ハンカチで手を拭きながら席に戻った
自然にハンカチを机の端に置き、手に当たったフリをしてハンカチをグルッぺン側に落とした
『あ、落としちゃった……』
グルッぺンなら拾ってくれると僕は確信していた
何故なら彼は僕を初めて友達として見てくれたから、それくらい彼は優しいから
グルッぺンは少し屈んで僕のハンカチを取ってくれた。意識がカップに逸れた瞬間、素早く睡眠薬を入れる
粉はすぐに溶け、無くなった
gr「Aの仕事も中々大変だな」
グルッぺンはカップに口をつけ、睡眠薬入りの紅茶を飲んだ
……グルッぺン、貴方の優しさに漬け込んでしまった僕を、どうか赦して欲しい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えす野良(プロフ) - ヒルさん» ヒルさん、ありがとうございます！無事帰ってきたのでまた読んでいただけると嬉しいです！ (2023年4月17日 8時) (
レス) @page43 id: bd3b1d5f0d (このIDを非表示/違反報告)
ヒル(プロフ) - 初コメ失礼します。前作から今まで愛読させて頂いておりました。受験ですか...大変ですね。とても好きな作品なので、更新できるようになるまでずっと待ってます！初コメ失礼しました。 (2022年10月6日 6時) (レス) id: e3196d1b3b (このIDを非表示/違反報告)
えす野良(プロフ) - 天天さん» 天天さん、コメントありがとうございます！！とてつもなく嬉しくて発狂しました！()ｵ"ｧ"ｧ"ーｯ!!亀更新ですがゆっくり見ていただけると嬉しいです(*^^*) (2022年5月5日 23時) (レス) id: bd3b1d5f0d (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 凄く面白いです！応援してます!更新楽しみにしてます！発狂しそうです！ｱ゛ｧｧｧｧｧｯ！ (2022年4月18日 17時) (レス) id: bc837922a0 (このIDを非表示/違反報告)
えす野良(プロフ) - 夕夜さん» ありがとうございます！！！頑張ります！！！ (2021年6月7日 16時) (レス) id: bd3b1d5f0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えす野良 | 作成日時：2021年6月3日 22時
