第四十話 ページ40
「綺麗でしょ。
ここ俺のお気に入りの場所なんだ」
エスコートされて車から降りると
目の前には東京の夜景が広がっていた。
『綺麗…』
私は緊張していたことも忘れて
その素敵な景色に見入っていた。
・
・
「A」
名前を呼ばれて振り返ると
いつの間に用意したのか
拓也さんが小さなブーケをもっていた。
「もう怖い思いをさせないように
俺がずっとそばにいるから
全力でAのことを守るから
だから一緒にいてくれませんか？
俺と付き合ってください」
拓也さんが言い終わるまでに
私の目には涙が浮かんでいて
滲んだ視界に映るブーケを
手を伸ばして受け取った。
『私でよかったら、お願いします』
不意に優しく腕を引っ張られて
バランスを崩した私は
そのまま拓也さんの胸に飛び込んだ。
「俺はAがいい。
Aじゃないとだめだ」
拓也さんの言葉にこたえるように
背中に腕を回して抱きしめると
拓也さんも強く抱きしめ返してくれた。
・
・
「私最近ずっと不安だったんです」
帰りの車の中で
自分の正直な思いを伝えた。
ちゃんと告白されなくて
もやもやしていたことも
自分から告白するつもりだったことも。
「そっか、ごめん
でも、俺もいろいろ考えてたんだ」
いつもよりも真剣な声のトーンに
拓也さんの気持ちが伝わってきた。
「あのまま流れで告白することも
もちろんできたんだけど
それじゃずるい気がしてさ。
ちゃんと考えて、自分の気持ちで答えてほしかったから。
Aのことが本気で好きだから
弱ってるところにつけむ
みたいな真似はしたくなかった」
やっぱりこの人にはかなわない。
こんなに私のことを考えてくれてたなんて。
「それで不安にさせたなら
悪かった。」
タイミングよく信号が赤に変わって
拓也さんと目が合った。
『このお花、気に入ったから許します』
照れた私は
手に持ったブーケを見つめながら
そう答えることしかできなかった。
「でもAからの告白
聞きたかったな」
私が照れているのがわかったのか
急に拓也さんはふざけた口調になった。
『私は拓也さんの言葉が聞けて満足です
…プロポーズみたいでびっくりしたけど』
ほんのちょっと仕返しがしたくなって
いじわるを言ってみただけだったのに
「それはまた今度ね」
なんて言われて
私のほうが照れて真っ赤になってしまった。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・！ (2020年5月7日 10時) (
レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました！最高です！！作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です！やっぱり、最高のお話でした！！最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて！！これからも頑張ってください！また読みます！ (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした！通知来た瞬間読みました！素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています！ (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張ります！ (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：flower | 作成日時：2017年6月15日 19時
