SORRISO【江口拓也】

第三十五話 ページ35

私の向かいに座って味噌汁をすする拓也さんを見ながらふと考える。



昨日どさくさに紛れて
好きだって言われたんだよね。





こういうのって返事したほうがいいのかな？

私も好きだってまだ伝えてないし。




でも付き合おうって言われたわけじゃないから
どうなんだろう。



それとも私から
付き合ってくださいって言うべきなの？



もやもやと考えているうちに
拓也さんは朝ごはんを食べ終えてしまっていた。





午後から仕事に行く前に
家に帰ってシャワーを浴びたいからと
拓也さんはご飯を食べ終えると帰ってしまった。



もやもやと考えた答えはまだ出ていなかった。


というか
もっとちゃんとお礼を言いたかったな。




助けてくれて
取り調べ付き添ってくれたただけじゃなくて
その後も一緒にいてくれて
店長に連絡までしてもらって
普通にお礼を言うだけじゃ足りない気がする。





今度こそご飯を奢らせて貰おう。




どこか美味しいご飯が食べられるところを
探さないと。



それとも拓也さんはお酒が好きだから
居酒屋とかバーの方がいいのかな。




いろいろと考えていると
いつもの出勤時間になった。




店長に電話すると
拓也さんが昨日電話をくれたことと
1週間休みをとっていいことを伝えられた。



申し訳ないと思ったけど
店長はひどく心配してくれて
それで店長の気が収まるならと
お言葉に甘えて休みを頂戴することにした。



どうやら犯人が客としてきていた人だったということを聞いて
それを引け目に感じているらしい。




店長に何度もお礼を言って電話を切る。



自分では自覚してなかったけど
そんなに大変なことに巻き込まれてたのか。




確かに
もしあの時拓也さんが来ていなかったら
考えるとそぞっとした。




過ぎたことを考えても仕方ないから
1週間の休みを有意義に過ごす方法を考える。




久しぶりに山梨の実家に帰るのもいいな。

壮馬君以外の同級生に
成人式以来会っていないから会いに行ってみようかな。





とりあえずまずは部屋の掃除からかな。

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