第二十七話 ページ27
『拓也さんが心配してくれてるのはわかってるの
でも迷惑かけたくなくて…』
確かに拓也さんは大人だし
ものすごく頼りになるんだけど
そうは言っても有名人だし
私なんかが迷惑をかけちゃいけない気がして。
自分で何とかしなきゃって…
・
・
うまく言葉にならない私の思いを
壮馬君はいつになく真剣な顔をして聞いてくれた。
「向こうが迷惑かけられたいって言ってるんだから
思い切って寄りかかればいいんじゃない？
確かに見た目はひょろっとしてるけど
ああ見えて頼りになる人だよ、拓也さんは」
壮馬君の笑顔を見ていると
本当にそれが最良なのかもと思えてくる。
「それとも、俺にしとく？」
いたずらっぽくウインクを投げる姿は
かなり様になっていて
仕事で慣れているのかな？
『壮馬君は優しいね
先輩に言われたからってここまで親身になってくれて』
嫌味じゃなくて本心から出た言葉だった。
高校のときから
何度もこの優しさに救われてきた。
「拓也さんに言われたから
ってだけじゃないよ。」
・
・
「好きだった人には幸せになってもらいたい」
一瞬時が止まったような錯覚に陥る。
真剣な瞳に目を奪われる。
「好きだったって言っても昔の話だよ。
今はAの気持ちがどこに向いてるのかわかるから」
すぐにいつもの笑顔に戻ったけど
壮馬君の言わんとしていることがわからなかった。
「どこが好きなの？拓也さんの」
言葉にして表されると
そうだったのかとやけに腑に落ちて
自分の気持ちを自覚して顔が急に熱くなる。
「もしかして気付いてなかったの？」
さっきまでの真剣な顔はどこへいったのか
にやにやした顔になって
いろいろと質問をしてくる。
またまたお手洗いの間に
お会計が済まされていて
有無を言わせないかのように
いろいろと質問をされる。
さりげなく家の前まで送ってくれて
帰る間にもう一度念を押された。
「本当に困ったことがあるならだれでもいいから相談しなよ」
帰っていく背中を見送って
部屋に入ってからLINEを確認する。
江口拓也今日は急用が入っていけなかったんだ!ごめんね!
壮馬君が全部しゃべっちゃったから
嘘だということは知っているけど
触れないのが思いやりだと思って
知らないふりをして返事をかえした。
メールも電話も無視をして
携帯の電源を切ると
ほろ酔い気分のままベッドに入った。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・！ (2020年5月7日 10時) (
レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました！最高です！！作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です！やっぱり、最高のお話でした！！最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて！！これからも頑張ってください！また読みます！ (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした！通知来た瞬間読みました！素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています！ (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張ります！ (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：flower | 作成日時：2017年6月15日 19時
