第二十四話 ページ24
SIDE EGUCHI
最近忙しいみたいで
AからLINEが来ることが少なくなった。
特に夜にはあまり返事が返ってこなくて
寂しいという気持ち以上に
仕事を頑張りすぎていないか心配になった。
壮馬にそれとなく聞いてみても
何も聞いていないと言っていたけど…
・
・
俺がもやもや悩んでいたせいか
今日のアフレコではミスを連発して
仕事を終えたのは深夜になっていた。
今日は飲んで気持ちを切り替えよう。
コンビニで酒でも買って帰ろう。
・
近所のコンビニに立ち寄って
酒売り場を物色していると
ふと帰っていくお客さんの後ろ姿が目に入った。
見間違えるはずはない。
顔は見えなかったけど
あれは絶対にAだった。
こんな時間に一人で出歩くのは危ないし
何より少しでも話したいから。
適当な缶ビールを手に取ると
急いでお会計を済ませて後を追う。
早足で追いついて肩を叩くと
振り返った顔に驚いた。
今まで見たことがないような
恐怖と不安が入り混じった顔。
送っていくと申し出ると
すぐにうなずいてくれた。
もしかして暗いのが苦手なのかな。
・
・
マンションまでの道を歩きながら
気になってたことを聞いてみるけど
嘘っぽく笑ってかわされる。
これが俺じゃなくて壮馬だったら
相談したりするのかな。
俺がしょうもないことを考えているうちに
Aのマンションの前についていた。
『送ってくれてありがとうございます』
そう言って別れようとする横顔は
今にも消えてしまいそうなほど儚げで
俺は思わずその手首を握った。
大胆なことをしたと思ったけど
それよりも心配が勝っていた。
それでもAは強がって
俺に迷惑をかけまいとしているみたいだった。
俺も困らせたいわけじゃなかったから
素直に引き下がる。
逃げるようにマンションに入った後ろ姿が家に帰ってからも頭から離れなくて
うじうじ悩むなんて自分らしくないから
一気にビールを飲み干して
ベッドに倒れこんだ。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時