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第二十三話 ページ23

掴まれた手首が熱くなって
夜道を歩いていたのとは違う意味で
心臓の音が大きくなる。



「俺じゃ、頼りないかな?」




真剣な目と困ったような顔に
心がぎゅっと締め付けられる。



『そういう理由じゃないんですけど…』




頼りにならないわけじゃなくて
頼りにするのが申し訳ないだけ。



…なんだけど
そんな顔で見つめられたら
決意が鈍りそうになる。





「ごめん、困らせたね」



そう言って手を放した拓也さんは
私なんかよりよっぽど困った顔をしていた。



申し訳なくなって逃げるように
マンションの中に入った。




拓也さんに迷惑をかけたくないから
自分でどうにかしなきゃ。




家に入ると非通知のから着信がはいる。




意を決して電話にでると
やっぱり無言電話だった。



文句の一つでも言ってやろうと思った。





『あのっ』



「今日は帰るのが遅かったんだね。
ところで、あの男は?」




出鼻をくじかれるとはまさにこのことで
急に話しかけられて固まってしまう。




『もうやめてください!』



叫ぶようにそう告げると電話を切った。




つよく決意した心は脆くも崩れて
不安と恐怖で押しつぶされそうになる。












ずっと見られてると思うと
家を出るのすら怖くなって
わがままを言って翌日の仕事を休ませてもらった。




何かをする気力も起きなくて
ずっとテレビを見ながらぼーっとしていた。





昼過ぎになって
スマホが振動して着信を知らせる。



それだけで冷汗が出て手が震える。




表示を確認すると
「江口拓也」の文字が。



ほっと安心して電話を取る。
すぐに耳元で心地よい低音が響いて
より一層私を安心させる。



「美容室予約しようと思ったら
店長さんからAが休みだって聞いて…
心配になって電話しちゃったんだけど」




ほっとして涙が出そうになるけど
迷惑をかけたくなくて
必死に平気なふりをした。



『ちょっと体調崩しちゃって…』



それから少し話をして
また二人で食事に行く約束をして電話を切った。



電話を切ると不安に襲われるけど
拓也さんの声を聴いたことで
さっきよりも不安な気持ちは和らいでいた。

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設定タグ:江口拓也 , 声優 , flower   
作品ジャンル:恋愛
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時

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