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第二十二話 ページ22

私が唯一安心できるのは
美容室でまわりに人がいるときだけだった。


家に一人でいると
どこかから見られているんじゃないかとか
ドアの外にいるんじゃないかとか
いろいろと考えてしまう。










今日は月に一度
お客さんが帰ったあと
スタッフ皆で技術交換会をする。



新しいヘアスタイルをスタッフ同士で試したり
お客さんの情報を交換したり。



刺激にもなっていつも楽しいんだけど
今回だけは不安だ。



帰るのが遅くなるし
同じ方向に帰る人もいない。















美容室のみんなと別れて外に出ると
もう外はすっかり暗くなっていた。



帰り時間がいつもより遅いので
あたりには人影も見えない。



急に怖くなって足早に歩くと
不意に後ろで物音が聞こえた気がした。



振り返ると人影は見えない。


でも誰かいるのは確かだった。





歩き始めると時折足音が聞こえる。




一直線に自分の家に帰るのが怖くて
少し遠回りしてコンビニに立ち寄る。



明るくて人の目があると少し安心する。



適当な雑誌を手に取って
パラパラとめくりながら心を落ち着ける。



こっそり外の様子をうかがうと
人影は見当たらなくて
そろそろ帰ろうかとコンビニを出る。



少し歩いたところで
足音が聞こえた気がした。


振り返るのが怖くて
恐怖で立ち止まりそうになった。


















不意に後ろから肩を叩かれて
心臓が飛び上がった。
















「…A?」




振り返ると
先ほどのコンビニの袋を持った
拓也さんが立っていた。





「今帰り?送っていくよ」



いつもは遠慮したりするけど
今日は心の底からありがたかった。




『ありがとうございます』




隣に人がいるだけでこんなに安心するなんて。




「最近、なんかあった?
疲れてるみたいにみえるけど」



心配してくれるのはうれしいけど
拓也さんは芸能人だし
私なんかのことで気を煩わせてくなくて
相談するのは気が引けた。




『最近仕事が忙しくって』



そう言って笑うと
拓也さんは納得がいかないような顔をしていた。












『送ってくれてありがとうございます』



そう言って別れようとすると
急に手首をつかんで呼び止められる。

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設定タグ:江口拓也 , 声優 , flower   
作品ジャンル:恋愛
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時

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