第十四話 ページ14
時間通りにお店に着くと
壮馬君は既についていたみたいで
お店の奥の個室に案内された。
「おつかれっす!」
そう言って微笑む壮馬君の前に座ると
私の隣に江口さんが座った。
「とりあえずなにか頼もう」
そう言いながら江口さんは
私にドリンクメニューを渡してくれた。
注文したいものを伝えると
さり気なく江口さんがオーダーを通してくれる。
「高橋さんは苦手な食べ物とかある?」
気遣いもできて
これが大人の余裕なのかななんて思ったり。
「えー、普段俺らには聞いてくれないのにー」
「壮馬は何でも食べれる」
「質問ですらない!」
壮馬君を適当にあしらって
さっさと残りの料理注文してくれる。
慣れてるなー。
女の人とよく飲みに行ったりするのかな。
彼女でもないのに
そんなことを考えるのは厚かましいだろうか。
考え込んでいる私を緊張しているとみたのか
壮馬くんはいろいろと話をふってくれる。
・
・
楽しかった時間はあっという間にすぎて
手元にある料理もほとんど食べてしまった。
「そろそろお開きにしようか」
江口さんの一声で時計をみると
結構な時間が経っていた。
お会計の時奢られるのは申し訳ないので
少しだけでも出させてもらおうと
お財布を持ってレジに近づいたんだけど
江口さんに財布を持つ手を止められてしまった。
急に手に触れられてドキッとして
固まってしまう。
「拓也先輩ー!ごちになりまーす!」
壮馬君に背中を押されて店の外に出された。
「男の人がおごるって言った時は
素直に奢られとけばいいの」
そう言う壮馬君は奢られ慣れてると言うか
女子力高いというか。
・
・
『江口さん、ご馳走様でした』
「いいって」
やっぱり江口さんは大人っぽくて余裕が感じられる。
「A、家どっち?送っていくよ!」
壮馬君の質問に答える前に
江口さんがその答えを遮る。
「俺が送っていくよ。家、近いみたいだし」
そういえばカット中にそんな話をしたんだっけ。
奢ってもらった上に送っていってもらうなんて
申し訳ない気がするけど
家が遠い壮馬君に送ってもらう方が申し訳ないかな。
ここは素直に送ってもらうことになった。
緊張しないといえばうそになるけど
江口さんと一緒にいられる時間が増えたことは
素直に嬉しかった。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時