第十二話 ページ12
SIDE EGUCHI
『芸能関係って声優さんだったんですね』
カットに移るなり高橋さんに問いかけられた。
「はい…」
隠してた手前ちょっと歯切れが悪くなる。
・
ああー
オタクだって思われたかな
ひかれたかな
・
そんな俺の不安は杞憂だったらしい。
『すごいですね!
こんな身近に有名人がいたなて!
どんな作品に出られてるんですか?』
何個か作品をあげるとうれしいことに知っている作品があったみたいで
『その作品!私原作持ってます!
今度アニメも見てみますね!』
なんてかわいい笑顔で言われて。
単純な俺はいちころだった。
社交辞令だってわかってても今日はうれしい。
・
・
小一時間でカットは終わって
お会計のためにカウンターに移る。
財布を出したりしていると
他の美容師さんがかばんをもって奥から出てきた。
「片づけは私たちでやるから行ってきなよ」
そういうとカバンを高橋さんに押し付けた。
『え、でも、いいんですか?』
困惑した高橋さんは
店長のほうに顔を向けた。
「いつも頑張ってくれてるからね。行ってらっしゃい」
優しそうな店長さんは彼女に微笑むと
俺の目を見てニヤッと笑って見せた。
「俺、外で待ってますね」
挨拶とか道具の片づけとかあるだろうから
俺は一足先に店を出て彼女を待つ。
スマホをチェックすると早速壮馬からLINEが入っていた。
8時にいつもの居酒屋ってことは
歩いて行ってもちょっと時間がある。
本当はもっと遅く終わるはずだったから
当然と言えば当然か。
間もなく扉があいて
先ほどのカバンを持った高橋さんが出てきた。
『お待たせしました!』
「いや、べつに大丈夫
壮馬が八時に待ち合わせって」
『みたいですね』
すでに壮馬から連絡があったみたいで
彼女は微笑んだ。
その笑顔を壮馬が引き出したのかと思うとなんだか悔しかった。
・
「待ち合わせまでちょっと時間あるけど
どっか行きたいとこある?」
『えっと、カフェ…とか?』
なにも思い浮かばなかったのか
それとも提案に自信がなかったのか
困ったように微笑む笑顔が
俺の胸を打つ。
これだけでドキドキしてるなんて
自分で思ってた以上に
彼女にハマっているみたいだ。
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ちぃちゃん - すごく素敵なお話でキュンキュンしました・・! (2020年5月7日 10時) (レス) id: d5505982b6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - とっても面白くてドキドキしました!最高です!!作品名を見た瞬間、「あ、私これ好きww」ってすぐに気に入っちゃいましましたww (2017年7月2日 9時) (レス) id: 246cbbf759 (このIDを非表示/違反報告)
春菜(プロフ) - お疲れ様です!やっぱり、最高のお話でした!!最終話なんて、心臓が持たなかったですwこんなの初めて!!これからも頑張ってください!また読みます! (2017年7月2日 9時) (レス) id: cc7bae8682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ。(プロフ) - お疲れ様でした!通知来た瞬間読みました!素敵な小説ありがとうございました。これからの作品も楽しみにしています! (2017年7月1日 23時) (レス) id: d39a9d04da (このIDを非表示/違反報告)
flower(プロフ) - コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります! (2017年6月29日 23時) (レス) id: 1b5420c9a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:flower | 作成日時:2017年6月15日 19時