２度目のプロポーズ (ページ7)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:17,991 hit

6 ページ7

『やっぱり名前しかわからないと難しいよね』

「名前はわかるの？」

『うん、かたぎりさとしくんっていうの』

私がそう言った途端、３人は黙ってお互いの顔を見合わせる。

え、何？どうかした？

「伊藤ちゃん、かたぎりさとしって、あの片桐さん？」

「確かに同じ名前だな」

「いやいや！あの男が結婚の約束とかするかァ？」

「ガキの頃だからわかんねえだろ」

『さとしくんを知ってるの？』

知ってるなら教えて欲しいと言えば、また顔を見合わせる３人。

理子ちゃんと伊藤くんは困ったように眉を下げる。

「知ってるっていうか、ね？」

「うん、この町にツッパリばっかりの学校で、開久ってあるんだけどさ」

『ツッパリばっかりの学校』

「そこの頭が、片桐智司なんだよ」

ツッパリばっかりの学校の頭の名前が片桐智司？

え？頭って、

『１番上、ってこと？』

「そうなるね」

『じゃあ、すごく悪いってこと？』

「悪い！！！！すっっっげえ悪い！！！！」

「おい！！！！」

「三ちゃん！！」

三橋くんの言葉に伊藤くんと理子ちゃんが慌てて声を上げる。

「でも同じ名前ってだけで別人かもしれないわよ」

「そうだよ、それに智司はコイツみてえに卑怯じゃねえし、コイツよりはよっぽどまとも、っ痛ぇな！」

「俺よりまともってどういう意味じゃ！！！」

「そのまんまだろ！」

『ふっ、ふふっ』

三橋くんと伊藤くんのやり取りに我慢出来ずに吹き出して笑ってしまった。

それに気付いて、３人がきょとんと目を丸くさせる。

『ごめんね、三橋くんと伊藤くんが面白くて。でも、大丈夫だよ。ツッパリも怖い人ばかりじゃないってわかったし』

三橋くんと伊藤くんみたいに優しいツッパリもいるんだってわかったし。

さとしくんがその片桐智司さんなのかはわからないけど、いつか会えたらいいなぁ。