月花石色-366日短編小説- Second

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集合時間の1時間前にはくるあいつ。
そういうとこはムカつくけど認めてる。ムカつくけど。




30分前になっても来ないあいつに、徐々にメンバーも心配しだして…。


龍「亜嵐君、Aに繋がった？」

亜「…ん、それが何回もかけてはいるんだけど、繋がんないんだよねぇ。Aちゃん。」

隼「どうしたんでしょう？」

玲「まさか、寝坊とか？？」

メ「いや、それだったらさすがに何回も電話かけてるんだし電話に出るでしょ？」

裕「宇宙人に連れ去られたんちゃう。」


こんな時、裕太くんのボケに誰もツッコまない。


もちろん、俺も。




そして、時間は、あっという間に過ぎて仕事が始まる20分前になってもあいつはまだ来てない。




本当に、どうしたんだろう。あいつらしくない。



みんなも、慌ててるみたいで

龍「ちょっ、ホンマになにしてんねんあいつ。」

亜「俺、ちょっとスタッフさん達と話してくるから、玲於達はとにかくAちゃんに電話し続けて？」

玲「もうしてますよ！」

メ「亜嵐君、俺も一緒にいくよ。」

隼「俺、ちょっとそこまで探してきます！」

みんなが、各々行動をとっているなか。

亜嵐君たちが部屋から出ようとしたタイミングで先にドアが開いた。



全員がドアの方に目をやると…。



『…すみません。遅くなりました。』





肩で息をしているあいつが立っていた。




とりあえず、あいつの無事が確認できたことで楽屋の空気は少し緩む。
でも、そんなの許せないのが僕なんです。



ダンッ





「遅れてきて、みんなに迷惑かけた態度がそれ？お前ふざけんなよ。」

龍「涼太、ストップッ」



近くにあったパイプ椅子を蹴飛ばし未だドアの前で突っ立っているあいつのもとへ行こうとすれば龍友くんに止められる。

でも、そんな龍友くんの制止も聞かずあいつの前まで来た俺は、それでもまだこちらを見ようとしないあいつにイラついて。




「なめてんじゃねーぞ。プロなら、周りに迷惑かけんなよ。」


『・・・』



黙ったままの彼女をそのままにして、俺は楽屋から出ていった。




あとから隼に聞いた話。


あいつは、熱を出してフラフラな状態だったんだとか。
俺が出ていったあと、泣きながらみんなに謝っていて龍友くんと亜嵐君が止めていたらしい。


仕事は、なんとかこなしたようだけど。



はぁ…、本当に嫌になる。

あいつの性格にも。
　 自分の性格にも。




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