月花石色-366日短編小説‐

12月1日　キク　-alan- ページ1

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季節が秋から冬に変わり
外から射す光が窓の結露に反射してきらきらと煌めいている


布団の中からその煌めきを眺めていると
ふと、隣の温もりに気づく。



いつ、帰ってきたんだろう。





テレビの収録に、撮影。
忙しい彼を見るのは1週間ぶり。


彼との生活に不満などない
でも、同世代が結婚していくなか
彼にそれを望めることはないだろう

彼は、みんなのものだから
今のこの状況だけでも幸せなこと
この温もりを感じれる今この瞬間が私の幸せなのだ。



眠りについてる彫刻のように美しい彼の顔を眺めていると
長い睫毛がひくりと動く。

彼の目が開く前に私は、眠ったふりをしてその様子を窺う。


隣の温もりがもぞもぞと動き彼が起きたことを知らせる。
じっと顔にあたる視線。
思わずニヤけてしまいそうになる口元を寝返りをするふりをして布団で隠すと
彼の吐息が私の額にかかった。


温度がすこし低い冷たくて柔らかい感触。
彼の一つ一つの動作にこちらの体温は上がりっぱなしだ。


彼の視線に耐えていると
彼が布団からでていく


まだ、アラームがなってないのに珍しい。
今日は、久しぶりの休日。
いつもなら、昼前まで寝ているのに。




そんなことを思っていると
また、彼の気配が近づくのが分かった。




彼がベッドの淵に座り
そっと布団をめくる。



ヒヤッとした空気に思わず体を縮める。







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