12月5日 シンビジウム -itsuki- ページ34
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『樹ー!こっちこっち。』
手を大きく振っている彼女に小走りで近づく。
「ちょっ、声デカい。」
『ふふっごめんって。久しぶりのデートだからはしゃいじゃった』
嬉しそうにニコニコしながら俺の前を歩く彼女とは
付き合って1年弱続いている。
THE RAMPAGEとしてデビューして
いろんなことがあったなかで彼女と出会って。
どこか北人さんみたいに抜けている彼女が可愛く仕方がない。
でも、俺がそれを口に出すことはない。
…はずいし。
『ねぇ!早くいこーよ!』
人の腕を掴んでピョンピョン跳ねだしそうな彼女に付いて行く。
自分と違って感情をダイレクトに伝えてくれる彼女は、実は俺より2つほど年上で。
彼女が言うには…。
『 “伝えたい時に伝えないと、いつかは不確かだから…”』らしい。
俺にはさっぱり分かんないけど。
時たま彼女の口から難しい言葉が出てきたりする。
そんな今日は、彼女がずっと行きたがってた美術展へ行く。
普段彼女は、大学で絵画を教えていて
俺も、美術館とか好きだしそういう好きなものが重なって付き合うようになった。
平日の昼間ともあり、人はまばら。
ゆっくり流れる時間が心地良い。
いろんな絵画が並ぶのを2人でゆっくり歩く。
美術館の良いところは、とにかく静か。
街中をショッピングするよりファンに会う確率も少ないし
もし、バレたとしても美術館に元々いる警備員さんが彼女たちが騒ぎ出すのを許さない。
ゆっくりと過ごせる限られた場所の1つだった。
『ねぇすごいね。』
彼女が小声で話しかける。
「うん、そうだね。」
俺は、ありきたりなことしか言わない。
そんな俺を彼女はクスッて笑うんだ。
『樹は、どの絵が好き?』
彼女が首を傾げながら聞いてくる。
どれが好きと聞かれても特段これっていうものはない。
絵を見るのは好きだが、この空間が好きっていう方が正しいから。
彼女の質問に答えることができない。
「んー、特にないかな。」
一見そっけない答えだけど彼女は俺の答えに微笑むだけ。
『…じゃぁ、私のこと好き??』
彼女の唐突な質問に目を見開く…。
見透かしたような彼女の目にドキリッと胸の音が鳴る。
付き合って長いけど彼女からこの質問をされたのは初めてだった…。
「…なに、急に。どうしたの?」
戸惑いながら答える俺に彼女は優しい笑みを見せて。
『“樹は、感情を出すのが下手だね”』
と一言呟いてからまた前を歩きだした。
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ESORA(プロフ) - マカロンさん» 返事が遅くなり申し訳ありません。すごく嬉しかったです!!一応来年の11月末まで続けるつもりだったので、もしよかったらこれかも見ていただけると嬉しいです。宜しくお願い致します。 (2018年12月16日 15時) (レス) id: 44dad9860d (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - ESORAさん» すみません…夏とか勝手な事を…f(^_^;人には人のペースがありますよね!あまりにも作品が良すぎて、調子に乗って言ってるだけなので負担にならないといいのですが…。 体に気をつけてマイペースに活動を楽しんで下さい♪ (2018年12月8日 2時) (携帯から) (レス) id: d90a572a32 (このIDを非表示/違反報告)
ESORA(プロフ) - マカロンさん» コメントありがとうございます。夏の花までいけるように毎日少しずつではありますが更新したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。 (2018年12月8日 2時) (レス) id: 44dad9860d (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - こんばんは。素敵なお話ですね!私はお花も好きですし、ランペファンなのでより嬉しいです!夏の花言葉ストーリーも楽しみにしています^▽^無理をせずに頑張って下さい♪応援してます! (2018年12月7日 22時) (携帯から) (レス) id: d90a572a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ESORA | 作成日時:2018年12月1日 22時